高崎健康福祉大高崎が桐生第一を下し、2年連続3度目の優勝を飾った。同点の7回、2番の林賢弥遊撃手(3年)がプッシュバント(遊撃への内野安打)や盗塁で相手を揺さぶるなど、持ち味の「機動破壊」を発揮し、3点を勝ち越し逃げ切った。今春のセンバツでは準Vの東海大四(北海道)に準々決勝で敗れたが、悲願の日本一を目指す。全国高校野球選手権大会(甲子園)は8月6日に開幕する。

 勝利の瞬間、ナインは両手を突き上げマウンドに駆け寄った。1点リードの9回2死三塁のピンチ。エース川井智也(3年)が最後の打者を得意のチェンジアップで空振り三振に仕留めると、川井を中心に歓喜の輪ができた。

 勝負どころで、チームスローガンの「機動破壊」を発揮した。2-2の同点にされた7回、1死一塁のチャンス。2番林がセーフティーバントのサインだったが、「守備が前進したスキを突いた」と自らの判断でプッシュバント。遊撃内野安打とし、一、二塁とチャンスを広げ、続く相馬優人内野手(3年)が左前へ勝ち越し適時打を放った。

 さらに林は三盗を決め、柴引良介内野手(3年)の左犠飛で生還。プロ注目の柘植世那捕手(3年)も右前適時打を放ち、持ち味の機動力を絡めて奪った3点が大きかった。青柳博文監督(43)が「(林の)三盗が非常に大きかった」と振り返るように、「行けたらゴー」のサインで二塁から三塁へ迷わず走った。

 今春のセンバツの準々決勝では、機動力対策を練られた東海大四に0-1で敗れた。苦い敗戦をきっかけに、シート打撃練習では送りバントやセーフティーバントを入れるなど、実戦の状況判断も磨いてきた。また月2回、足腰強化の足袋を履いて体操、ランニングの「足袋トレ」を導入し打撃力もあがった。

 甲子園出場はあくまで通過点だ。柘植は「日本一しか目指していない」と堂々と話した。青柳監督も「レベルの高い群馬で勝てたので、責任と自覚を持って何としてでも、全国制覇したい」と意気込んだ。3季連続甲子園出場で初の日本一を目指す。【青木沙耶香】

 ◆高崎健康福祉大高崎 1968年(昭43)創立の私立校。01年に共学化し、現校名。生徒数は1365人(うち女子931人)。野球部は01年に創部。甲子園は春2度、夏は3度目の出場。部員数は82人。主なOBはロッテ脇本直人。高崎市中大類町531。加藤陽彦校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦12-0渋川青翠

3回戦1-0利根実

4回戦3-2前橋工

準々決勝10-0関東学園大付

準決勝7-1前橋商

決勝5-4桐生第一