第97回全国高校野球選手権(8月6日開幕・甲子園)に出場する南北海道代表の北海が27日、ベンチ入りメンバー18人を発表した。高校野球100年を記念して同大会の始球式を務めるソフトバンク王貞治球団会長(75)と同名の千葉貞治内野手(3年)が、公式戦初のベンチ入りを果たした。

 全国最多36度目の出場となる北海は、“ビッグネーム”の参戦で緊急事態に備える。公式戦で初めて背番号をゲットした千葉の名前は、奇遇にも今大会の開幕試合で始球式を行うソフトバンク王球団会長と同じ「貞治」だ。「曽祖父母から1文字ずつもらった」という名は、国民栄誉賞に輝いた偉大な人物と一致する。

 通算868本塁打のプロ野球記録を持つ本家とは異なり、千葉の最大の売りはチームの誰もが認める堅実な守備だ。南北海道大会準決勝で、レギュラーの長沢健汰郎遊撃手(3年)が鼻骨を折ったため「内野守備なら、どこでもこなせる」(平川敦監督=44)という千葉に、白羽の矢が立った。

 これまで1度もベンチ入り出来ず、甲子園でも選手のサポートに徹する覚悟を決めていただけに、心中は複雑だ。初めて手にする伝統校の背番号に「うれしいより、代わりに外れてしまった3年生のことを考えると、涙が出た」という心優しき背番号15。「打撃では貢献出来ないと思うので、守備で貢献したい。ベンチに入れなかった3年生の分まで頑張る」。ド派手な1発ではなく、華麗な守りで勝利を呼び込む。【中島宙恵】