鹿児島実(鹿児島)が王さんパワーで初戦突破を目指す。早実OBのソフトバンク王貞治球団会長(75)が始球式を務める開幕戦での北海(南北海道)との対戦が決定。エース右腕、橋本拓実投手(3年)は始球式の直後に投げられる後攻めを熱望した。

 「早実との対戦だけは避けたいと思っていたら、まさか開幕戦になるとは…。でも、開幕戦で後攻なら王さんの後に投げられると、みんなで言っていたんです。王さんからしっかり運をもらって、学校創立100年に恥じない鹿実らしいプレーをしたいですね」

 福岡県出身で、子供のころは王会長が監督だったソフトバンクの試合を観戦するため、ヤフオクドームに通った。「王さんを間近で見たことはないので楽しみです」。鹿児島大会でも試合開始時間に合わせて肩をつくれる後攻を選んで勝ち上がってきた。

 OBでもある宮下正一監督(42)も、選手として出場した90年センバツの開幕戦で秋田経法大付を下した経験の持ち主。「決まったからにはいい方向にとらえたい。先攻を取ったら王さんの球を空振りできるし、後攻を取れば橋本がその横に立てる。どっちになるか分からないが、王さんの力をもらいたい」と話し、今日4日から、開会式直後に試合を行う開幕戦を見据えたアップを取り入れる。

 鹿児島実が前回出場した10年の3回戦、九州学院戦をスタンド観戦して以来の甲子園となる橋本。憧れ続けた舞台で王さんから力をもらい、目標の全国制覇へ、まずは甲子園1勝をつかみとる。【福岡吉央】