俺も甲子園のレジェンドになる! 全国高校野球選手権大会(6日開幕、甲子園)に出場する早実(西東京)のスーパー1年生・清宮幸太郎内野手が、96年夏に「奇跡のバックホーム」で松山商(愛媛)を優勝に導いた右翼手・矢野勝嗣さん(36=愛媛朝日テレビ記者)との初対面に感激した。兵庫・尼崎市内での練習後にインタビューを受け、あらためて甲子園での活躍を誓った。

 普段どおりに応じたテレビ取材の直後、清宮の表情が一変した。インタビュアーが矢野さんだったと聞くと「えーっ! マジですか? もちろん知ってます。先に言ってくれればよかったのに!」と興奮を抑えきれず、目を丸くした。前日3日の組み合わせ抽選会で初戦(8日)の相手が愛媛代表の今治西に決まり、地元局に勤める矢野さんが取材に訪れたのだ。「甲子園のレジェンド」との初対面に「すごいことですね。狙ってるとかはないですけど、打ったものが結果として(歴史に)残ればいいと思う」と、決意を新たにした。

 99年生まれの16歳にとっても、96年夏の「奇跡のバックホーム」は伝説のプレーだった。大好きな甲子園を常に見てきただけに「(動画サイト)YouTubeにも上がってるし、見る機会も多かった。(直前で)ライトに代わった人ですよね」とうれしそうに話した。対面した矢野さんも「僕はあの一瞬だけですが、甲子園でいい思いをさせてもらった。清宮君は打席に入った時点でオーラが違う。いい場所にしてほしい」と笑顔でエールを送った。

 清宮はこれまでも多くの「レジェンド」と出会い、進化を続けてきた。早実中1年だった12年6月に日本ハム-楽天戦(東京ドーム)で始球式を行い、楽天星野監督(当時)から「このまま野球を続けろよ」と激励された。同年8月に北砂リトルで世界一に輝いた直後には、イチローから祝福された。3年後にたどりついた聖地で「ランナーをかえすことに徹したい」という怪物ルーキーは、伝説として受け継がれる一打を放つつもりだ。【鹿野雄太】

 ◆「奇跡のバックホーム」 96年夏の決勝戦、3-3の延長10回裏に熊本工1死満塁で本多が右翼へ大飛球。サヨナラ犠飛かと思われたが、直前に交代出場したばかりの松山商・矢野がノーバウンドでストライク返球。絶体絶命の危機を救って11回の勝ち越しを呼び、27年ぶりの優勝を飾った。