甲子園だ! 第88回選抜高校野球(3月20日開幕、甲子園)の出場32校の選考委員会が29日、大阪市内で開かれ、青森山田(青森)が11年ぶり2度目のセンバツ出場を決めた。昨秋東北大会優勝で文句なしの選出だ。同じく準優勝の八戸学院光星も3年連続9度目の出場が決定。史上初の青森県勢2校出場となった。

 午後3時6分、青森山田・花田惇校長に朗報の電話が入った。いつも通りの練習をしていたナインに、花田校長が「うれしい知らせだ。センバツが決まった。甲子園で思いきり暴れて来なさい」と報告、激励した。雪のグラウンドにナインの歓声が響き渡った。

 昨年8月就任の兜森崇朗監督(36)にとっては監督として初の甲子園が決定。OBで2年生の秋はエースで東北大会決勝進出。光星に敗れ準優勝に終わった。地域性でセンバツは落選した。「19年前の2月1日、同じこの場所で悔しい思いをした。今日はうれしい知らせ。選手たちの頑張りで報われた」と感慨深げだ。

 この冬はパワーとスピードを強化ポイントに練習に励んだ。初出場の昨秋神宮大会では初戦(準々決勝)で東邦(愛知)を4-3で破った。準決勝は敦賀気比(福井)に5-8で敗退。兜森監督は「投手の球の速さ、打球の強さ、足の速さなど、全国レベルとまだ差があった」という。

 このためウエートトレーニングの比重を増やし、食事や体づくりの講習会も開いた。選手の自主性を重視し、全体練習を短く、自主練習の時間を多くした。神宮大会の後、2年生部員は朝1時間、学校内のトイレなどを清掃。1年生部員は寮の清掃を行った。冬は一般生徒が登校する前、部員全員で学校構内の除雪作業を行った。厳しい寒さの中、心身を鍛えてきた。

 内山昂思(こうし)主将(2年)は「今日からが勝負。緊張感を持って練習し、目標の日本一を達成してお世話になった人たちに恩返ししたい」と顔を引き締めた。光星も選出されたことに「光星さんには県大会、東北大会と学ばせていただいた。甲子園でまた戦いたい。勝って日本一になりたい」と力を込めた。

 05年初のセンバツは沖縄尚学に3-16の大敗。兜森監督は「冬の練習の成果を発揮し、全国の舞台で青森山田の野球をみせたい。神宮大会で果たせなかった日本一を今度こそ」と春をにらんだ。【北村宏平】

 ◆私立青森山田高等学校 1918年(大7)創立。普通科、情報処理科など4科があり、生徒数は965人(女子275人)。サッカー、卓球、バドミントン、男子新体操などで全国優勝経験がある。主なOBはサッカーの鹿島柴崎岳、卓球の水谷隼、福原愛ら。野球部は54年創部でOBに吉田一将(オリックス)らがいる。夏の甲子園には10度出場し、99年ベスト8。所在地は青森市青葉3の13の40。花田惇校長。