プロ注目右腕の尾形崇斗(3年)擁する学法石川は福島高専を3-1で振り切った。

 発展途上の尾形が粘りの投球を見せた。0-0で迎えた4回にマウンドに上がると、自慢の直球を抑え気味に、高速スライダーを低めに集め3安打1失点。当初は4人で継投する予定だったが、打線が好投手の福島高専・山岸航平(3年)を捉えきれず緊迫の展開に。1イニングの登板予定が、最後まで投げ抜いた。

 疲労はピークに達していた。2日に行われた桐生一(群馬)との練習試合で最速150キロをマークしたばかりだが、この日の最速は143キロ。「準決勝、決勝を最高のコンディションで迎えるため」(尾形)に試合前日までの3日間で400球超の投げ込みを敢行。疲労蓄積の状態でも、安定した制球力を見せた。

 「疲労で2割ぐらいの力しか出せなかったが予想以上に投げることができた。勝ち上がっていったときどこまで投げられるかが課題。ここからもっと状態を上げていきたい」と尾形。春季大会では試合前にニンニク20粒を食べスタミナ源としていたが、この日はより即効性を求め板チョコ1ダースを平らげていた。

 ネット裏には5球団のスカウトが熱視線を送っていた。ヤクルト酒井圭一スカウト(59)は「春先に比べ投球フォームが良くなっていた。これから投げ込めばもっとよくなる」。OBでもあるソフトバンク作山和英スカウト(48)は「初戦ということもあり丁寧に投げている感じ。これからでしょう」と、伸びしろを期待した。【下田雄一】