<高校野球茨城大会:明秀学園日立18-0岩瀬日大>◇12日◇2回戦◇日立市民球場

 高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」を務める前ロッテのサブロー氏(42)が12日、茨城・日立市で今春センバツ16強の明秀学園日立・増田陸内野手と細川拓哉投手(ともに3年)のプロ注目コンビを視察した。同校が取り組む「フライボール革命」はプロで活躍する選手を育てるのに有効だ。

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 増田は第3打席で逆方向の右中間にソロを放った。第4打席は引っ張って左翼線に三塁打。走るスピードがあるタイプではないが、体のバネや筋肉の質はいい。遊撃の守備位置では常にステップを踏んで1歩目の反応に備えていた。試合中の仲間への声掛けなどを見ると、明るい性格のガッツマンタイプだろう。プロ向きの性格かもしれない。

 明秀学園日立は、大リーグなどで話題になっている「フライボール革命」を取り入れている。プロで活躍する選手という視点から見て、これは大賛成だ。

 「フライを打つ」と言っても、スイングは地面と平行なレベルスイングを保ちながら、ボールの下側を打って、強いバックスピンをかけるもの。体でボールに角度を付けようと思えば、目線、肩も下がり、スイングはバラバラになってしまう。

 私も子供の頃は「ゴロを打て。上からたたけ」と教えられた。ゴロなら捕球、送球と2度失策を誘うチャンスがあるが、フライなら1度-。そんなネガティブな思考ではいつまでたっても米国には勝てない。PL学園時代、臨時コーチだったOBの鈴木英之さん(現関西国際大監督)に「失敗の練習はするな」とフライ打ちを勧められた。投手はゴロを打たせようとするから、ゴロは「失敗」。24年前は衝撃的だった。

 プロでもこの教えを元に、ティー打撃ではボールにバックスピンをかけて15メートル以上ある球場のバックネットを越す練習を続けた。落合さんの打撃練習もそうだった。ボールに角度を付けることで飛距離は上がる。

 増田を中心とした打線に加え、5回から登板した細川は直球がスライダー気味に変化する「まっスラ」を投げていた。横変化のカットボールと違い、直球の軌道で横に滑るボールは打者にとって打ちづらい。直球はスピン量が多く、高めで空振りが取れる「ポップ型」。「まっスラ」を意識的に生かして投球を組み立てれば、大きな武器になる。