第100回全国高校野球西東京大会5回戦で、両軍合計41四死球という「ギネス級の激闘」が繰り広げられた。8強入りをかけた日大鶴ケ丘-明大中野八王子の試合は、両軍投手が厳格なストライクゾーンに苦しみ、四死球を連発。酷暑の中、ビッグイニングの応酬となった。

 「41四死球?」。ネット裏に集まったスカウトは目を丸くさせ、数字の異常さに驚いた。ベテランスカウトは「ビックリした。これだけの数は見たことがない」と言った。球審はコース、高さともに厳格で、ある投手はがっくりと膝に手をつき、落胆した。

 試合展開が変わる可能性から、外部から審判への試合中の助言は「原則」禁止とされる。東京・八王子の最高気温は34・9度。炎天下の日中にプレーボールがかかったが、球審は両チームともに平等に厳しく、妥協なく貫き通した。今夏は全国各地で熱中症が続出する暑さ。危険を感じた東京都の高野連は「裁量」として対策を講じた。

 通常、ダイワハウススタジアム八王子では5回のグラウンド整備はなかったが、5分間のブレークタイムを設定した。観客に向け、場内アナウンスで「熱中症への注意」も呼び掛けた。関係者によれば、幸いにも、この日は両チームの選手、審判団、スタンドで応援する生徒らが異常を訴えることはなかった。

 ただ、この先、同じような問題に直面することが予想される。他県では審判が裁量のもと試合を止め、選手に水分補給を促すケースも見られる。異常な暑さの中、万全の対策が求められる。【久保賢吾】