<高校野球北埼玉大会:花咲徳栄11-0滑川総合>◇22日◇準決勝◇大宮公園野球場

 右の強打者出てこい! 高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」を務める前ロッテのサブロー氏(42)が22日、さいたま市で高校通算56本塁打を誇るプロ注目の右打者、花咲徳栄(北埼玉)の野村佑希外野手(3年)を視察した。

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 PL学園に入部して初めてのミーティングで、中村順司監督(当時)に手と足のパワーのバランスを問われたことがある。1時間、両足で立つことはできても、逆立ちは1分でもきつい。手と足の力は「1対9」または「0対10」。だから打撃も守備も下半身の使い方が大事と教えられた。

 野村は3打数無安打だった。選手を見させてもらう上で、その日の結果で何かを言うつもりはない。炎天下で4回を投げ、投球に意識の大半が向いたこともあるだろう。打席ではポイントが投手よりで、上体で打とうという意識が強すぎるように見えた。高校野球でも「フライボール革命」を取り入れることが増える中、ゴロになりやすい打ち方になっている。もっと下半身をうまく使えるようになれば持ち味の飛距離が伸び、確実性も増すだろう。

 今や右打者は貴重な存在だ。今年も大阪桐蔭・根尾、藤原、報徳学園・小園と上位候補は左打者ばかり。近年の大谷、清宮もそう。

 これはイチローさん、松井さんの影響が大きいと思う。イチローさんは44歳で、今の高校3年生が生まれた18年前の00年にマリナーズに移籍した。あこがれた親が子供を左打ちに変え、日本人の左打者の人数は確実に増えた。<1>右打者より一塁に近い<2>日本は左投手が少ない、利点もある。

 私もプロでスイッチに挑戦したことがある。つくられた左打者はクセのない理想的なスイングにしやすい。近年大注目された高校生の右打者は07年の大阪桐蔭・中田以来、10年以上出ていない。清原さん、中田のような右の超高校級スラッガーが現れてほしい。