＜高校野球西東京大会：日大三９－６東海大菅生＞◇２６日◇準決勝◇神宮球場

　東海大菅生（西東京）の片山昂星内野手（３年）はベンチに座りながら、声を掛け続けた。昨夏、４番で甲子園でも本塁打を放った主砲は、５回戦の八王子北戦で左足首の腓骨（ひこつ）を骨折。松葉づえで体を支えながら、サポート役に徹した。「悔しかったです。でも、チームのためにやれることをやろうと」。

　全治２カ月のケガをした翌日から、ノートに対戦相手の配球を書き、傾向を伝えた。打者のデータも取って、守備位置の指示や攻め方も助言。自分に代わって、１年生で４番を任された杉崎成内野手には「結果を気にせず、思い切り振っていけよ」と声を掛けた。

　５回終了時のグラウンド整備中、ベンチ裏でミーティングが行われた。片山はスッと手を挙げ、仲間を鼓舞した。「後半、必ず試合がもつれる。じっくり腰を据えて戦っていこうよ。６、７回に試合が動くから」と心に訴えかけた。あと３点届かなかったが集中力を保ち、接戦を展開した。

　敗戦後、片山の目から涙がボロボロとこぼれた。「自分がいれば万全だったと思いますが、逆にみんなでやってくれると思っていたので」。仲間を信じ、支えた夏は終わった。「大学で野球は続けたいと思います」。この経験を次の舞台に生かす。【久保賢吾】