<全国高校野球選手権:創志学園7-0創成館>◇9日◇1回戦

 ジョニーのような、ファンに愛される熱い投手になってほしい。高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」を務める前ロッテのサブロー氏(42)が、創志学園(岡山)西純矢投手(2年)の感情を表に出す投球スタイルに、プロ向きの資質を感じ取った。

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 西が16三振を奪い、無四球で完封した。投球は素晴らしい。ただそれ以上に魅力を感じたのは、感情をむき出しにする“やんちゃ”なスタイルだ。帽子を飛ばし、派手なガッツポーズで雄たけびを上げる。プロは競争社会。これぐらい気持ちを表に出さないと勝ち抜けない。それがマウンド度胸につながる。気の強さは顔つきにも出ている。大好きなタイプの投手だ。

 ロッテでチームメートだった黒木さんがそうだった。打たれても、抑えても熱い感情を表に出した。後ろで守っていて、球場全体を熱くするタイプだった。「実力+熱さ」がある選手は、プロとしては一番ほしい人材。これから先、誰に何を言われても、このスタイルは変えてほしくない。大リーグでは、比較的おとなしい日本人選手を評価する基準の1つに、感情を表に出せるかがある。淡々と投げる投手は好まれない。ヤンキース田中も、投げる時は顔つきが変わる。それぐらい投手にとって大切な要素なのだ。

 技術的な部分では、高校時代の田中や松坂のように、縦に落ちるスライダーで三振が取れる。直球と変化球で、腕を振るスピードが変わらない。打者からすれば、同じ軌道で来て、直球と思って振ったボールが、スライダーだったという感覚だろう。だから空振りが取れる。高校生でも変化球を投げる時に腕の振りが緩めば対応される。スライダーというよりフォークに近い感覚かもしれない。

 三振を取る力は、投手にとって一番の魅力。ピンチを三振で切り抜けられる。大船渡(岩手)佐々木、横浜(神奈川)及川ら、2年生の好投手が多い中、来年のドラフト1位候補に挙がることは間違いない。