近江(滋賀)旋風は、まさかの幕切れとなった。

 9回のマウンドにいたのは、5回から登板していた2年生、林。1点リードしていたが、金足農(秋田)への甲子園の声援に襲われた。これまで躍進の原動力の1人となっていた左腕が、最終回の雰囲気を振り返った。「場の空気にのみ込まれた。ストライクゾーンがちょっと違った感じになった」。2本の安打と四球で無死満塁のピンチを招き、2ランスクイズを決められた。「いつもなら『ランナー動いた』というサードの指示で(スクイズを)外すことができていた。声援で、何も聞こえなかった」。無念のサヨナラ負けを喫した。

 涙をためた林は「来年この場所に戻ってくる」と誓った。2年生バッテリーの有馬と林は、甲子園の土は持ち帰らなかった。聖地の怖さを知った2年生が、この悔しさを胸に、もう1度、甲子園を目指す。