敦賀気比(福井)・笠島尚樹投手(2年)が完封で日本航空石川の強力打線を退けた。4安打、9奪三振で四死球なしと文句なしの内容だった。

「調子はあまりよくなかったんですが、振ってくる打線と聞いていたので、打ち気をそらすことを考えました。直球のあとのスライダーの曲がり幅を少し変えたりして、狙いを外そうと思いました」

昨夏の甲子園も1年生で経験したスリークオーター右腕にとって公式戦初完投。伸びやかなフォームから繰り出す直球は130キロ台だが切れがあり、変化球も間違いなく制球した。石川屈指の打線にも臆せず立ち向かった。

虎の子の1点はドラフト候補生のバットから生まれた。初回1死二塁から4番の木下元秀外野手(3年)が詰まりながらも中前にはじき返した。「相手投手がいいので、先制点がほしかった。どんな形でも走者をかえせたのはよかった」。

ただ、3回からリリーフした日本航空石川の好投手、重吉翼投手(3年)からは3打数無安打。チームもほぼ完璧に抑えられた。「変化球がいいし、直球にも切れがあった。そこを打てなかったので…。ああいう投手を打てるようにならないといけない」と悔しそうに話した。

木下は前チームからのエースで昨夏は甲子園登板もしたが、昨年11月に左肘を痛めて野手に専念中。ただ、今月に入って練習試合でも投げ始めた。今では5イニングほどまで伸ばしているといい「夏には先発できるようにと思っている」と、投手の方にも意欲的だ。