今秋ドラフト1位候補の創志学園(岡山)・西純矢投手(3年)が「高校BIG4」の先陣を切った。岡山南戦に先発。序盤は制球に苦しみながら7回5安打10奪三振で2失点。日米13球団、約30人のスカウト陣の前で成長した姿を見せ、チームを7回コールド勝ちに導いた。

降り続く雨にぬかるむグラウンド。立ち上がりは力みから制球が乱れ、帽子は何度も激しく落ちた。「緊張で舞い上がって、自分のプレーができなかった」。2回2死一塁から3連続四球で先制点を献上。だが、心が乱れそうな場面にも、この夏の西は違った。「右足(に重心)を残して投げるふうにして、少しマシになりました」。2回まで5与四球も、3回以降は1つだけ。修正した投球で試合を制した。

昨秋の中国大会準決勝・広陵(広島)戦。8回に自らの失策も絡み、踏ん張り切れずに一挙6失点。そこからメンタルトレーニングに励んだ。「しんどい時こそ我慢して、自然体で投げることを意識しました」。体も鍛え、体重も昨夏から6~7キロ増の87キロ。最速は153キロまでアップした。この日もスカウトのスピードガンで151キロを計測。成長力はピカイチだ。

今春のU18高校日本代表候補の研修合宿で「BIG4」は集結した。「配球とか練習法だったり、今まで考えてきたこととは違うことを学べた」と大きな刺激を受けた。「奥川とか佐々木とか及川とか、いろいろ話したので、対戦したい思いがあります」。甲子園で再会を-。負けられない夏が始まった。【磯綾乃】

▽巨人渡辺スカウト 足場が悪くてかわいそうだったけど、ランナーが出てからしっかりコースに決まっていた。ものがいいのは分かっているから。

▽阪神和田テクニカル・アドバイザー 立ち上がり苦しんでいたけど、修正力が備わっている。去年の春よりフォームがおとなしくなったけど安定感が増した。

▽阪神山本スカウト 力んでいたけど、点を取ってもらってからコースに決まっていた。修正能力を見せてくれた。1ついい勉強になったと思う。1位クラスの評価は変わらない。

▽中日米村チーフスカウト 切り替えができるようになった。勝つことを優先して精神的に成長した。10点取られたとしても、評価は変わらない。(BIG4の中で)秋の時点で少し評価は低かったかもしれないけど、一番成長したと思う。