東京学館新潟が昨年の優勝校・中越に5-2で逆転勝ちし、06年以来13年ぶりの4強入りを決めた。

3-2と勝ち越した6回1死二塁に古俣秀三塁手(1年)が、ダメ押しの左翼線適時二塁打。チームでただ1人の先発1年生がラッキーボーイ的な活躍を見せた。

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鋭く振り抜いた古俣三塁手の打球は、左翼線の内側ギリギリに弾んだ。2-2で迎えた6回。相手失策で勝ち越し点を奪った後の1死二塁の場面だ。ワンボールからの内角直球に逆らわずフルスイング。適時二塁打が生まれた。「メッチャ、緊張したけれど、最高にうれしかった」。三塁コーチ小菅貴也(3年)の「楽に」「笑顔で」という声に、快打を放ったときにはプレッシャーも消えていた。

捕手の渡辺勇士主将(3年)が「もう、1年生という感じではない。ニコニコして、ラッキーを持ってきてくれる」と評した古俣は、0-2で迎えた4回の同点劇にも幸運な形で絡んでいた。1死二、三塁の打席だった。投手前へのスクイズバントは相手投手の野選を招いて1-2。反撃の足掛かりをつかむバントだった。長谷和昭監督(58)は「あの子(古俣)にラッキーボーイ的なものを感じている」と、かすれた声を弾ませた。

東京学館新潟は今春、1年生が大量40人入部した。全部員は90人にふくらんだ。そんな活況を見せる野球部で、古俣はただ1人スタメンを張って奮闘している。岩室中時代はKボールの県選抜メンバーで4番を任されていた強打者。「(持ち味は)打撃です」と、打撃には自信を持っていた。「大好きな3年生のために、自分のできることを精いっぱいやりたい」。

長谷監督は「いい意味で乗ったチームが(上へ)いく」と話していたが、1年生のバットがチームを勝利の軌道に乗せる。【涌井幹雄】