今秋ドラフト1位候補の西純矢投手(3年)を擁する創志学園が、岡山大会準決勝で倉敷商に0-2で敗れた。

西はNPBスカウト7球団が視察する中、8回を投げ10奪三振。自己最速の154キロをマークしたが10安打を浴び、2年連続夏の甲子園は夢と消えた。

試合後、涙をこらえ、笑顔で気丈に振る舞った。「最後は自分で打たれて。悔いはありません」。倉敷商の手堅い試合運びに屈した。6回1死二、三塁から犠飛で先制点を献上。中盤には、炎天下の疲労からか「腕が振れなくなってしまった」。7回にも連打を浴び、2点目を献上した。

容赦ないヤジが自分を変えた。「甲子園での批判があったから今の自分がある」。昨夏の甲子園、派手なガッツポーズを連発。批判の声は西の耳に届いた。秋の地方大会でも、仲間のミスや審判の判定に不満があれば表情に出し、観客からは容赦なくヤジを浴びた。「ヤジを受けてプラスに考えた。自分みたいな投手を気にしてくれた」。前向きに、以降は局面での対処を問うディスカッション形式のメンタルトレーニングで精神面の強化に励んだ。

成長した姿を見せた。3回、三塁手の冨田光哉(2年)が失策。2死一、三塁のピンチとなったが、自ら後輩を励ましに行く姿がそこにはあった。

高校最後の試合、西を包んでくれたのは大勢の観衆からの拍手だった。「良く思われなかったこともあったけど、拍手で終われて良かったです」。進路は「これから考えます」としたが、プロ志望届を出す可能性が高い。「悔しい結果になりましたけど、楽しかったです」。感情を荒らげることなく、この夏516球を投げ抜いた。エースの成長がそこにはあった。【望月千草】

▽創志学園・長沢宏行監督(西について)「出来は良かった。点が取れなくてかわいそう。相手はいい攻めをしていた」

▽ロッテ黒木スカウト 150キロ超えが10球。いい力み方というか、力の入れ方がいい。(この夏は)段階を踏んで良くなっている。力の入れ方とフォームが合っている。野手の失策を自分から声をかけてフォローができていて、その後の投球につながっている。

▽阪神山本スカウト 精神的に大人になった。見てきた中で一番真っすぐに力がある。