4年ぶりの決勝進出を狙う静岡高は、エース松下静(じょう)投手(3年)の好投で第4シード浜松工を4-2で破った。決勝戦は29日、午前10時から草薙球場で行われる。

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静岡のエース右腕・松下が6安打2失点完投で、チームを4年ぶりの決勝へ導いた。2点のリードを守り抜き、迎えた最終回2死。最後の打者を遊ゴロに打ち取り、試合が終わった。整列に向かうナインの中に、137球を投げ抜いた背番号「1」の笑顔があった。

気迫が白球に乗った。3点リードの8回。1点を返され、なおも2死一、三塁のピンチを背負った。1発を浴びれば逆転の場面で、浜松工の4番塩崎栄多(3年)を打席に迎えた。松下は「簡単には終わるとは思っていない」と集中を切らさず、カウント1-2からフォークで空振り三振。この日最大のピンチでも、相手に流れは渡さなかった。

対策が実を結んだ熱投だった。台風一過のこの日、会場の草薙球場は気温30度を超えた。「省エネを考えた。打たせて取ることを意識した」。無安打投球を続けた5回まで、奪った三振は3つ。言葉通り凡打の山を築き、流れに乗った。大会前、グラウンドコートとマスクを着用して練習に励んだ“特訓”は、終盤の粘りにつながった。松下は「気持ち的には疲れたけど、体は大丈夫」と笑った。

4年ぶりとなる夏の甲子園出場を懸けて臨む決勝は、初優勝を狙う駿河総合と対戦する。松下は「いきます」と連投を決意。続けて「やるべきことをやれば、結果もついてくる。目標は、甲子園で優勝すること」と語気を強めた。ノーシードからの戦いも、伝統校が目指す場所はまだ先にある。連勝街道を突き進む。【前田和哉】