“残り物”で好カードが生まれた。4年ぶり出場の東海大相模(神奈川)は予備抽選でトリの49番目。本抽選は最後の1枚を待つだけだったが、大会第6日、第2試合で近江(滋賀)との対戦が決まった。

その近江は、昨夏の準々決勝で吉田輝星擁する金足農(秋田)と熱戦を繰り広げたバッテリーが柱。優勝候補同士が初戦から激突し、好勝負が期待される。

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壇上の井上恵輔主将(3年)は引いたくじ番号を口にする時、会場内のチームメートの方を見なかった。「どのチームが相手でも、とは思ってましたけど。くじ運、悪い。近江さん。どうせ、何か言われると思って」と正直に打ち明けた。

昨夏の近江と金足農との熱戦は、ニュースで見た。近江には林、有馬のバッテリーが残る。「経験豊富な選手が多い。自分たちより甲子園を経験している」と警戒心を隠さない。だが、すぐに「どこが相手でも自分たちがやってきたことを徹底する。特別なことをせず、いつも通りやっていく」と真顔になった。

門馬敬治監督(49)は「彼(井上)は…引いたの?」と苦笑い。「抽選は受け身だったから、試合は動きたい。組み合わせで待ってた分」と冗談ぽく続けた。もっとも「動く」ことは常に大事にしている。「盗塁とかの戦術ではなくて、体を動かすということです。守りでも足を動かす。地面から力をもらう」と強調した。前日の甲子園練習もベースランニングから入った。守備練習から始めるチームが多い中、異彩を放っていた。足を動かし、体を躍動させ、頂点へ駆け上がるつもりだ。【古川真弥】