作新学院(栃木)が岡山学芸館を投打に圧倒し、8強に一番乗りした。先発の林勇成投手(3年)が8回2死まで無安打に抑えれば、打線は初回から6イニング連続得点。8回も8得点と爆発し、計19安打18得点で大勝した。

18得点は12年2回戦(立正大淞南)の19得点に次ぐ、栃木県勢では2番目。18点差は県勢最大差となった。18日の準々決勝は、中京学院大中京(岐阜)と戦う。

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開始直後、1番福田の左翼線二塁打が号砲だった。岡山学芸館の先発左腕、丹羽の直球を引っ張った。次打者の遊ゴロで三塁へ進み、3番中島の中前打で先制ホーム。そつのない攻撃だったが、実は想定外もあった。丹羽は10日の2回戦(広島商戦)で左顔面に打球を受け骨折。相手先発は右腕の中川と読んでいた。だが、動揺はなかった。福田は「打席に入ったら1対1の勝負」と切り替えた。変化球が定まらず、カウント3-1。「直球に絞った」。今度は読みが当たった。

読みは1回裏の守りにも出た。相手の先頭打者が初球ストライクを見送り、遊撃の石井は「直感を信じました」と、定位置から1歩だけ中堅寄りへ。直後の2球目。鋭いゴロが中前へと襲ったが、飛び込んでグラブに収め、遊ゴロに仕留めた。さらに2死三塁では三遊間の深いゴロをさばいた。「今度は定位置でした。ポジショニングは自分の課題。勉強してきました」。日々の努力が実った。

初回の表裏で流れをつかむと、後は得点のオンパレード。8回には一挙8点を奪ったが、どんなに点差をつけても、走塁を含め、誰1人、手を緩めない。主将の石井は直立不動で言った。「試合が終わるまで気を抜くことはありません。試合の中でも強くならないといけないチーム。諦めるとか、手を抜くとか、そういう言葉は一切ありません」

小針崇宏監督(36)の目にも「全員野球を掲げている。全員、気を抜くことなくやってくれた」と映った。8強は優勝した16年以来。強い作新学院が戻ってきた。【古川真弥】

▽作新学院・石井(初回、遊撃で好守連発。3安打2打点)「チームとして勝てたことがうれしい。1勝して校歌を歌うことを目標にしてきましたが、前回勝って、今は勝ち続けることを目標に切り替えています」