学法石川(福島)が秋4連覇中の聖光学院を7回コールド10-2で下し、準々決勝に進出した。

1-1で迎えた3回裏に茨木響也内野手(2年)が勝ち越し2点本塁打を放つと、5回には5安打と相手のミスに乗じ6点を奪って勝負を決めた。

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試合後、わずか5メートルの距離で始まった両監督のインタビューが、福島での衝撃の大きさを象徴していた。20人ほどの報道陣に囲まれる聖光学院・斎藤智也監督(56)を横目に学法石川・佐々木順一朗監督(59)は、「僕は3人。これが福島ですね。負けた方が多くの人に囲まれる、恐ろしい光景を見ました」とうれしそうに笑った。

絶対王者との対戦を前に選手にはまずスコアボードを向かせ、「聖光学院対学法石川だよ。どう考えても楽しいよな」と緊張を和らげた。「技術と違い、姿勢には好不調の波がない」。試合中は自ら笑顔を絶やさなかった。初回、初球のスローカーブを本塁打された佐藤日は「この球は打たれて当然と、すぐに切り替えられた」。佐々木監督は「浮ついた感覚を本塁打が止めてくれた。現実は厳しいんだよ心構えができた」と逆に幸運ととらえた。1回裏にすぐに同点。3回に値千金弾の茨木は「みんなに盛り上げてもらって打てた。『楽しめ』という監督の言葉を全員で最後まで実践できた」と満足感を漂わせた。

仙台育英時代は、斎藤監督と10度対戦し7勝3敗。昨年11月に就任し、ようやく実現した福島での初対決だった。甲子園出場の聖光学院は支部予選免除で「クジを引いてからワクワクが止まらなかった。うちは1回勝って、相手はぶっつけ本番という一番チャンスがあるパターン」と横綱相手にひそかにシナリオを描いていた。5回には5安打と暴投などで6得点。新チーム初公式戦となった聖光学院のミスも逃さなかった。

99年の夏を最後に甲子園から遠ざかる。「聖光のためにもここからしっかり戦わないと。この勝利で1ランク上がると期待している」と成長を期待する。佐藤日は「聖光を倒すために入学して、こんなに早く目標を達成できてビックリ。でもこの勝利はここまで。次からの1戦1戦をしっかり戦いたい」とその気になって聖地に向けて駆け上がる。【野上伸悟】