アーチスト加入で「盛付劇場」がバージョンアップした。岩手では、盛岡大付が1発攻勢で2年連続11度目の秋季王者に輝いた。

1発目は同点の5回2死一塁、1番渡辺翔真外野手(1年)が「感触的にはこすった。『飛んでくれ』と祈りました」と、高い放物線で左翼席ギリギリに飛び込む勝ち越し2ラン。続く6回には4番塚本悠樹捕手(2年)が「すぐに点を奪われたので、相手の流れを切りたかった」と左翼への弾丸ソロ。再びリードを2点に広げた。

1人で4発の塚本を筆頭に、県大会5試合で9アーチを描いた。今夏は岩手大会3回戦敗退のショックを、盛夏の群馬で強豪校と練習試合を積みながら癒やした。関口清治監督(42)は「40度近い中でプレーし、涼しい岩手に戻って体が切れ始めた」と成長を実感。塚本は右肘炎症で地区予選メンバーから外れ、県大会から背番号「12」で初の公式戦。1回戦は盛岡農相手に1イニング2発の衝撃デビューを飾り、「自信につながった」と4番の座を射止めた。

5連敗で始まった花巻東・佐々木洋監督(44)との戦績は10勝9敗となり、初めて関口監督が勝ち越し。また、県内公式戦21試合目で今年初めて土をつけた。地元開催の東北大会は、クジ運次第ですべて岩手県営で戦える。「慣れた球場の地の利は大きい。学校も近いので、ぜひ全校応援でお願いできれば」。第1代表の「ホスト役」として、2年連続のセンバツ切符は譲れない。【中島正好】