62年ぶり出場の東奥義塾(青森3位)が学法福島(福島1位)を3-2で下し、準々決勝進出を決めた。

1-2の8回表1死一塁、4番原田拓茂捕手(2年)が左中間に逆転2点本塁打。投げては4番手で4回無失点と好投した斉藤黎央投手(1年)ら4投手の継投がさえた。

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古豪が頼れる主砲・原田の1発で試合を決めた。学法福島のエース左腕・辻垣高良(2年)に4安打9三振と抑えられてきた終盤8回だった。「前の打席でも外の直球が多かったので張っていました」。捕手ゆえの冷静な読みがズバリ的中。ライナー性の鋭い打球が左中間スタンドに突き刺さった。「落ちていたチームの雰囲気を何とか変えたかった」と高校通算18号は、値千金の逆転弾。工藤秀樹監督(41)は「さすが4番。原田は急にスイッチが入る。その能力は本当にすごい」とほめるしかなかった。

リードでも投手陣を引っ張った。「ウチには金足農の吉田君(輝星、日本ハム)のような先発完投の投手はいないので、継投をするしかない」(工藤監督)。先発の佐藤蓮、2番手の五十嵐悠紀、4番手の斉藤はいずれも1年生で、タイプの違う後輩の持ち味を引き出した。「自分がしっかり配球を考えて、1年生には思い切りやらせたい。できるだけ会話もするようにしている」。

62年ぶり2度目の東北大会で、前回を超える2勝を挙げて歴史をつくった。工藤監督は「あまりに昔すぎて、選手は実感がないでしょう」と話す。県大会の初戦では夏甲子園8強の八戸学院光星から大金星。横綱に勝って浮かれそうな2回戦では、八戸学院野辺地西に延長サヨナラ勝ちして波に乗った。準々決勝では春東北王者、夏準優勝の弘前学院聖愛を撃破するなど快進撃が止まらない。原田は「技術では先輩たちのチームにも他校にもかなわない。でも気持ちだけは負けていない」。過去に4度甲子園に出場した古豪が、81年夏以来の聖地を視界に入れた。【野上伸悟】