日本高野連は4日、第92回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)について、史上初の無観客で開催準備を進めることを決めた。主催者の日本高野連と毎日新聞社は大阪市内で運営委員会と臨時理事会を開き、出場32校に無観客での実施に向けての準備を要請することを決めた。だが、新型コロナウイルスの感染状況によっては中止することも明言した。開催の可否は11日の臨時運営委員会で結論を出す予定だが、予断を許さない状況だ。

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日本高野連の八田英二会長は「球児の甲子園でプレーをしたいという熱い思いに、あきらめることなく最大限、大人として何とかしてやろうという思い」と口にした。新型コロナウイルスの感染は拡大し、終息が見えない中、主催者側は開催の可否を1週間先延ばしてでも、球児たちに甲子園でプレーさせることを選んだ。

可否の前に開催する場合は、史上初となる無観客で行うことを決めた。出場校の参加人数も最小限とし、一般のファンだけでなく応援団、在校生、家族のスタンド観戦も認めなかった。ブラスバンドの演奏も声援もない。集団になる状況も極力避ける。13日の抽選前日に主将たちが集まるキャプテントーク、15、16日の甲子園練習、18日のリハーサル、19日の開会式は中止。13日の抽選は例年の主将でなく、主催者による代理抽選とした。

選手たちの宿舎ではビュッフェ形式の食事は禁止し、甲子園までの移動のバスも高野連が手配する。取材方法も通常のインタビュールームではなくスタンドで記者との距離を離して行う案などを考えているという。最終決定の11日までに、できる限りの感染予防策などを作り上げるという。

安倍首相が2月26日に今後2週間の大規模イベントの自粛、規模縮小を要請、翌27日には小中高校などに臨時休校を要請する考えを示した。センバツの出場32校の中にも休校、練習禁止の学校が多い。高野連は感染リスク軽減と大会へ向けての公平性を保つため、15日までは練習試合、遠征合宿の自粛を要請した。

25日に開幕予定だったラグビー全国高校選抜大会(埼玉・熊谷)や他競技の全国大会の多くが中止となっている。その中でも主催者は無観客での開催を選んだ。

だが、状況は不透明だ。毎日新聞代表取締役社長の丸山昌宏大会会長は「中止も視野に入れている」と明言した。この数日で非常事態となれば11日より前でも中止する。12日から開幕前日の18日までの状況でも中止を決める。大会中でも選手や関係者などが1人でも感染すればすぐに大会は中止となる。すべてが前例のない状況で、球児たちは大会へ調整を進める。方向性は出たが、まだまだハードルは多い。

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日本高野連・田名部和裕理事(95年の阪神大震災の際に事務局長)「あの時は大会をやることで勇気づける意味があったが、今度はやればやるだけ不安が増す。環境がまったく違う。(中止するなら)勇気を持ってやらないといけない」