青森高校野球の古豪が、復権に向けての歩みを進めている。弘前実は夏の甲子園で5度の出場を誇る伝統校だが、近年は青森山田や八戸学院光星が台頭し、96年を最後に甲子園から遠ざかる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、第102回全国高校野球選手権(甲子園)の中止が決定したが、3月から始まった休校期間中は野球アプリ「PLAY」を有効活用。飛内伸哉監督(49=)と部員が情報共有して、チーム内の「野球脳」を高めてきた。

飛内監督は「PLAY」を通じて、毎日の練習内容と野球に関する題(送りバントはボール球をしないなど)に自分の考えを要約し、リポート提出を呼びかけた。7日の部活動再開後も継続して行い、競技の知識向上やチーム戦術の意識統一を図ってきた。「やり続けることは大変で面倒だと思うかもしれない。けど続けることによって、彼らの自信になる」と話し、菖蒲川颯篤投手(3年)は「みんなの意見が参考になるし、新たな発見もありました」と効果は表れている。

昨秋は弘前地区予選で弘前東に1-2で惜敗。県大会出場を逃したが、降雪や寒さが厳しくなるまでは県外の強豪校と練習試合を行い、実戦経験を積んだ。千葉慎之祐主将(3年)の父明夫さんは同校OBで、91年はエースとして甲子園初勝利に導いた。千葉主将は「今苦しい状況で、練習時間は限られている。高校総体がなくなった人の思いをくみつつ、全力で戦い抜きたい」。地方大会に代わる代替大会開催は各高野連の判断に任されている。同大会が実現すれば、弘前実は古豪復権へ、24年ぶりの県制覇に挑む。【相沢孔志】