幻となったセンバツに続き、夏の甲子園の夢も絶たれた磐城(福島)が8日、全体練習を再開した。

新型コロナウイルス感染防止のため、自粛が続いていた福島の公立高校ではこの日から部活動が解禁。4月16日以来約2カ月ぶりの練習となった。ブランクを感じさせない選手たちの動きに渡辺純監督(38)は「久しぶりの野球はやっぱりいいですね。もっとミスが出るかと思っていたけど上出来。しっかり自主練習をしていたんでしょう」と驚きの表情を見せた。

2、3年生は、センバツ用に作製したコバルトブルーのTシャツを身にまとった。木村保前監督(49)が掲げてきた「Play Hard」のプリント入り。岩間涼星主将(3年)は「センバツ直前のようなハツラツとした、緊張感ある張り詰めた雰囲気でやっていきたいと思った。全力プレー、全力疾走の気持ちを後輩たちにもつないでいきたい」と、再スタートでの着用を提案。約2時間、守備練習を中心に汗を流し、「これだけ動けるとは思わなかった」と笑顔を見せた。

5月20日に夏の甲子園中止が決まってからは、気持ちの切り替えが難しかった。進学校のため、3年生の中には受験を視野に引退を考える選手もいた。岩間主将は12人の3年生1人1人に電話して話をした結果、「3年生を中心に最後までやりきろうとなった」と、1年生10人を含め29人全員がグラウンドに集まった。

福島県高野連では代替大会の開催準備を進めており、12日の理事会で正式決定する。13日からは対外試合も解禁となる。エース沖政宗投手(3年)は「目の前の状況を受け止めて、全力で立ち向かっていきたい」とラスト大会への決意を固めた。【野上伸悟】