高校軟式野球も東北各県の代替大会と東北大会(8月9日開幕、宮城・鹿島台中央公園野球場ほか)の開催が決まり、明確な目標が生まれている。昨夏の全国高校野球選手権大会(兵庫・明石トーカロ球場ほか)に出場した仙台商(宮城)と能代(秋田)は20、21日に仙台商グラウンドで定期戦を実施。21日には東北学院(宮城)を加えた3校での試合で、気持ちを高め合った。軟式の代替大会は6月26日開幕の岩手を皮切りにスタートする。

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仙台商が練習試合解禁に合わせた強豪との一戦で、心と体に刺激が注入された。主力組同士の「定期戦」は0-1、0-6と連敗したが、エース右腕・高橋堅(3年)は「県大会、東北大会と全試合投げて、1年生の手本になるような投球、取り組みがしたい」と目を輝かせた。

21日は西山康徳監督(38)から5回途中2失点で降板を命じられると、悔し涙も流した。「去年も大事なところで負けた。大一番で勝てるように、少しでもパワーアップしようとやってきたのですが、体のキレが戻らない」と苦しい心境を吐露。筋力トレーニングや長短距離走で、体重は昨秋から14キロ増の71キロへ。自粛期間中に67キロまで絞り込んだが、心身ともに試行錯誤中だ。

一塁側ベンチには、昨年の選手権1回戦、国体決勝のスコアがホワイトボードに掲示されている。「敗戦投手 高橋堅」の文字も。目標が2つの全国大会でのリベンジと高かっただけに、東北大会まで用意してくれた関係者に感謝の気持ちを抱きつつも、喪失感が拭い切れてないのも事実だ。

チームとしても投手陣を援護するために、1人20分間、飛球禁止の軟式特有の打撃練習を重ね、得点力向上に努めてきた。同時に毎朝トラック10周(4キロ)ランで暑さの中で連戦を乗り切る体力増にも着手。高橋将人主将(3年=写真は東北題字)も「最後の夏、東北大会で優勝して笑顔で終わりたい」。7年連続全国切符はなくなったが、東北王者の勲章を得て下級生につなぐ。【鎌田直秀】