<甲子園高校野球交流試合:履正社10-1星稜>◇15日◇甲子園

日刊スポーツ評論家が甲子園交流試合に出場する逸材をチェックする「プロ目線」では田村藤夫氏(60)が、履正社・関本勇輔捕手(3年)と星稜・内山壮真捕手(3年)を捕手目線で解説した。

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履正社の関本、星稜の内山の両捕手に注目した。まず、3度盗塁を刺した関本には、捕球してからの速さ、送球の正確さ、肩の強さを感じた。7回無死一塁で代走の場面では、走ってくるだろうという状況で準備が出来ていた。左打者の外角真っすぐで、送球しやすい投球ではあったが、しっかりベースの右側に投げていた。

また、立ち上がりストレートが走らず、不安定な岩崎に「低く」「広く」と大きなジェスチャーでリードし、よく周囲が見えていると感じた。キャッチングでも、低めのボールをしっかり止めていた。低めのボールを捕球する際、ミットが下がってしまうと、審判からボール球に見えてしまうケースがある。その点、関本はしっかり審判から見えるキャッチングをしていた。

内山は盗塁を刺す場面がなく、肩の強さ、送球を見ることはできなかった。リード面では、立ち上がり大量失点で苦しんだ荻原に、関本のようなジェスチャーをまじえて引っ張る様子がなかったと感じたが、これは捕手としての経験を積んでいけば、自然と身につく。

2人に言えることだが、左打者の外角への捕球時に、ミットが流れる様子があった。特に構えたところと逆にボールが来た時に、体勢が間に合わず、ミットが左側に流れてしまう。これは、キャッチングの練習を重ねていけば克服できる。

バッティングは両者ともにストレートに対するスイングが良かった。変化球への対応はまだこれからだと思うが、内山の第2打席からの3打席はいずれもストレートをいい感じで捉えていた。大差がついた試合となったが、2人とも打てる捕手になる素材として印象に残った。(日刊スポーツ評論家)