第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が29日、オンラインで開かれ、広島新庄は2年連続3度目の出場が決まった。昨年4月に名将・迫田守昭前監督(75)からバトンを受けた宇田村聡監督(34)が率いて昨秋の中国大会で初優勝。ダブルエース中心に守り勝つ野球で、春夏通じて初の全国制覇を目指す。組み合わせ抽選会は2月23日に行われる。

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吹雪の中届いた吉報に、広島新庄ナインの心が熱く燃え上がった。接戦を勝ち上がり、昨秋の中国大会を初めて制覇。中国地区文句なしの1校目で選出され、一面雪景色になった北広島町にある同校グラウンドで静かに喜びを共有した。宇多村監督は「コロナの状況の中、開催へ向けご尽力いただいている関係者の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。開催されたら高校球児みんなで、持っている力を発揮していきたい」と力を込めた。

広島北部の積雪量の多い地域の利点を生かし、鉄壁のチームを作り上げた。冬の時期は腰付近まで雪が積もることがある中、全選手がランニングで足場を固め、その環境でノックを行うなど鍛錬を積んできた。主将の大可尭明(たかあき)内野手(2年)は「足腰が強くなるのもありますし、(ゴロの)イレギュラーの反応にもついていくことができるようになった」と胸を張る。強靱(きょうじん)な足腰と堅い守備で、新チーム発足後の対外試合は無敗の39連勝中だ。

チームを支えるのが左右のダブルエースだ。右腕の花田侑樹投手(2年)と左腕の秋山恭平投手(2年)は、互いをライバルと認め合い、切磋琢磨(せっさたくま)を続けてきた。最速143キロの花田は「何をするにしても負けないように」と言えば、多彩な球種を操る技巧派の秋山は「花田のおかげで成長できている。存在は大きい」。2本の大黒柱が中心となり、チームをもり立てている。

宇多村監督は2人の存在について「迫田前監督からも投手中心に守り勝つことを教えていただいた。その中で、2人の投手がしっかりしていることは本当に頼もしい」と目を細める。センバツでの目標について指揮官は「全国優勝、日本一を目指してしっかりやっていきたい」。2枚看板を軸に、春夏通じて初の頂点へ挑む。【古財稜明】

◆広島新庄 1909年(明42)新庄女学校として創立の私立校。07年に現校名となった。野球部は28年創部。甲子園出場は過去に春1度、夏2度。主なOBは広島永川勝浩、巨人田口麗斗ら。校訓は「至誠一貫」「質実剛健」「協力一致」。広島県山県郡北広島町新庄848。

◆花田侑樹(はなだ・ゆうき)2003年(平15)6月25日生まれ、広島・北広島町出身。中学時代は府中広島2000に所属し、ジャイアンツカップに出場。広島新庄では1年から主戦で出場し、現在は4番も務める。変化球はカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、フォーク。50メートル走6秒3、遠投110メートル。182センチ、75キロ。右投げ左打ち。

◆秋山恭平(あきやま・きょうへい)2003年(平15)5月15日生まれ、福岡県久留米市出身。中学時代は筑後サザンホークスに所属し、侍ジャパンU15代表。野球留学で広島新庄に進んで1年時からエース格として活躍。最速は138キロでスライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップ、ツーシームを操る。50メートル走6秒5、遠投110メートル。170センチ、65キロ。左投げ左打ち。