長女を押し倒すなどしたとして、暴行容疑で警視庁に現行犯逮捕された巨人の阿部慎之助前監督は釈放され、警視庁は任意の捜査に切り替えた。
今後の考えられる刑事手続きは、警察が検察に事件を送る場合は、身柄の送検を伴わない書類送検という形となる。また、容疑が軽微で「微罪処分」として検察に送らない場合は、このまま、刑事手続きは終了する。
任意捜査に切り替えるとは、逮捕による容疑者の身柄の拘束を伴わない捜査に切り替えること。そもそも、逮捕とは、容疑者に逃走の恐れ、証拠隠滅の恐れがある場合に、警察が裁判所に請求し裁判所が発布する逮捕状を示した上で、本来はすべての人に保証されている身体の自由を強制的に奪う強制処分。ちなみに現行犯逮捕の場合は、逮捕状は用意できないため、現場で逮捕状を示す必要はないし、警察官でなくても現行犯逮捕できる(常人逮捕)。
逮捕後、逃走の恐れや証拠隠滅の恐れがない場合、警察の判断で容疑者を釈放することがある。釈放された容疑者について、日本のメディアでは容疑者呼称をやめ、肩書き呼称とすることが一般的になっている。真犯人が別にいて、容疑がなかった場合も直ちに釈放することになっている。
また、「釈放」に似た言葉として「保釈」がある。保釈は、警察が事件を検察に送り、検察が事件を起訴した後に被告側から裁判所に保釈を請求し、認められた場合に保釈保証金を払った上で拘束が解かれることを言う。
釈放されたが、事件の容疑が残っている場合、警察は容疑者の身柄の拘束は伴わない「任意の捜査」に切り替える。取り調べ、証拠の捜査などは継続される。一方、任意の捜査の結果、軽微なものについて、警察が検察に事件を送らない「微罪処分」という制度がある。
刑事手続きのルールを定めた刑事訴訟法は、第246条で「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない」としており、基本的には、警察は捜査した事件はすべて検察に送り、検察が起訴するかどうかを判断する。
一方、「微罪処分」は、この条文の最後の但し書き「但し、検察官が指定した事件については、この限りでない」にもとづいて、警察が検察に事件を送らない例外的な手続きのこと。検察官があらかじめ指定した、犯情の特に軽微な窃盗,詐欺,横領などの成人による事件について、警察が検察官に送致しない手続をとることだ。
この微罪処分となれば、刑事手続きは検察にうつることなく、終結する。微罪処分とならない場合、警察は任意の捜査を続けた事件を検察に書類送検する。書類送検を受け、検察は起訴するかどうかを判断し、起訴した場合は、裁判に進む。裁判では罪状が審理され、判決が決まる。
暴行罪の法定刑は刑法第208条に「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定められている。



