桜宮が同校OBの阪神矢野燿大監督(52)ばりの超積極野球で、近大付相手に最大7点差を追いつく大熱戦を演じた。6回に6点を奪うと、2点差の土壇場9回に同点に追いつくも、延長戦の末に敗れた。今春センバツで初戦敗退の大阪桐蔭は、14安打12得点で関大北陽に6回コールド勝ち。16日の決勝は、近大付と大阪桐蔭が対戦する。

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桜宮が、大先輩のお株を奪う大熱戦だ。2点を追う9回、無死二、三塁の同点機。代打岩崎颯(そう)外野手(3年)に、仲間から声が飛んだ。「チャンスでショータイムや!」。客席の部員も、このフレーズのボードを掲げる。初球を強振し、中前に運んだ。

最大7点差にじわりと迫り、9回の2点適時打でついに追いついた。今大会初打席の岩崎は「どうすればチームの力になれるか。緊張しましたが、受け止めて。初球から振っていきました」と振り返った。6回表終了時で7点差。だがその裏、2四球と敵失などで6点を奪った。延長10回の5失点で力尽きたが、強豪の近大付を追い詰めた。

セ・リーグ首位を快走する矢野阪神の昨季のチームスローガン「It’s 勝笑 Time!」を連想させるが、“元祖”は桜宮。北風和樹監督(59)は「チャンスはショータイム。失敗してもネクスト」と唱え続けてきた。15年以上用いるフレーズで、指揮官は「メンタル面を勉強してプラスの言葉を使います」と話す。期せずして、矢野イズムと重なった。岩崎も「ああいう場面はなかなかない。楽しむだけ」。82年春以来の甲子園へ。大勝負でのずぶとさが武器になりそうだ。【酒井俊作】