釧路北陽の4番武隈智典三塁手(3年)が亡き父に捧げる決勝打でチームを北大会出場に導いた。2-2の5回2死二塁。勝ち越しの左前適時打を放ってみせた。「4番としての仕事をなんとかしたかった。4番らしい打球ではなかったけど、しっかりと点を取れたのでよかったのかな」。打った球も覚えていないくらい夢中で食らい付いた。

中学3年だった18年6月、牧場経営の父が急に倒れ、天国に旅立った。50歳とまだ若かった。当時のショックは当然大きかった。「悔しかった」。小学1年時、父のすすめで始めた野球。高校最後の夏、地区予選の山場を迎え「今日の試合に入る時、お父さんが見てくれてるだろうな、空から見てくれているよな、しっかり見ててよ、という気持ちでやってました」。

難敵の武修館を下し、北大会の切符をつかんだ。「まずは1勝して積み重ねていきたい」と意気込みは十分。「小学校の時に野球をやらせてくれたのがお父さん。お父さんをはじめ、家族に支えられて今まで野球ができている。感謝の思いを全力プレーで伝えたい」。思いはきっと天国の父に届いている。【山崎純一】

○142球の熱投をみせた釧路北陽の富樫亮太投手(3年) 苦しい場面もあったけど、捕手の鎌田がうまくリードしてくれて投げることができた。

 

●春の地区予選で敗退した相手に雪辱できなかった武修館・赤石歩夢主将(3年) 自分たちの出せることは出せた。自分たちの悔しさの分も後輩たちには頑張ってもらいたい。