<高校野球埼玉大会:松山9-2小鹿野>◇17日◇3回戦◇熊谷運動公園野球場

小鹿野(おがの)は、部員11人で戦い抜いた。打線が封じられ、7回コールド負け。吉田伊吹主将(3年)の目は「素直に、勝ちたかったです」と真っ赤だった。

白地に、えんじ色のローマ字で「Ogano」と入ったユニホーム。12年にプリンスホテルの監督などを務めた石山建一氏(78)が外部コーチに就任したことをきっかけに一新された。00年に解散したプリンスホテル野球部OBに許可を取り、同じ色とデザインを使った。当時を知る人からは「なつかしい」と言われ、石山氏は「今でも覚えていてもらってうれしい」と言う。

同校は少子化の影響を受け廃校の危機にあったが、野球部を中心に再興を考えたOBや自治体に招かれて小鹿野へ。コーチ就任後は今大会の3回戦進出が最高成績だ。江戸時代から続く「小鹿野歌舞伎」が由来となり、フルスイングする“歌舞伎打線”がチームの代名詞となった。今大会は3戦合計で23得点を挙げ「みんな強い打球が打てるようになった。本当に打撃がよかった」と目を細めた。

新チームは5人でスタートする。今夏の小鹿野旋風が、来年以降にもたらす影響は大きい。浜田正司投手(3年)は「この悔しさを武器にして、来年も頑張ってほしい」と後輩に託した。【保坂恭子】