秋田商が涙の劇勝だ。由利に7-6でサヨナラ勝ちし、2年連続で4強入り。同点の9回2死三塁、9番児玉一波(かずは)内野手(3年)が、人生初のサヨナラ打を放ち、歓喜の涙を流した。エース高橋入麻(いるま、3年)が、立ち上がりから安定せず、早々と降板して中堅守備へ。再登板後に自己最速を2キロ更新する145キロをマークも、計4回2/3を5安打3失点(自責2)。本調子ではないエースを全員で支えた。

打撃で波に乗る児玉一が、猛打賞となる一打でサヨナラを決めた。カウント1-0から高めの直球をセンター返し。「最後にああいう場面で自分に回り、チームのために打つという気持ちでした」。打球が中前に抜け、一塁に到達すると右手でガッツポーズ。「涙が出てきました。すごい鳥肌が立ったというか、チームを救えてよかったです」。ベンチから駆け寄った高橋の目にも涙があふれた。

兄の意地だ。弟の凌海(りょう)内野手(2年)も秋田商の主力。この日は一塁で先発も、救援でマウンドに上がった。2番手で4回1/3を4安打3失点(自責1)。登下校も常に一緒の仲良し兄弟で、児玉一は「弟のためにも打とうと思ってました」と振り返った。

3点を先行され、6-3と逆転した後に今度は追いつかれ、再び勝ち越すというシーソーゲームだった。太田直(すなお)監督(42)は「何度も何度も心が折れそうになりました」。それでも積極的に攻め、「1戦1戦強くなっていると思う」。21日の準決勝は秋田南と対戦。ノーシードからの下克上Vへ、一戦必勝の秋商(あきしょう)野球を貫く。【山田愛斗】