ノーシードの東海大静岡翔洋が、今春東海王者の掛川西を退け、優勝した2004年(平16)以来、17年ぶりの決勝進出を決めた。

先発のエース鈴木豪太(3年)が、5安打10奪三振完封。主将の石上賢真捕手(3年)が初回に先制適時打を放ち、守備でも右腕を好リードした。

鈴木が快投で第2シード校を沈めた。初回、先頭打者にいきなり自己最速タイの144キロを計測するなど快調。3奪三振と上々な立ち上がりを見せた。その後も「今日は、右打者への内角シュートが最も良かった」と、果敢に打者の懐を攻め続け、相手を苦しめた。

終盤になっても球威は衰えず、球速も140キロ台を維持。昨冬、1日で30、50メートル走を20本ずつ、100メートル24本、200メートル9本といった走り込み中心のトレーニングを続けたことで、下半身を強化。スタミナと直球の質が上がり、今夏にその成果を発揮した。今大会は1回戦から全6試合に登板。先発・救援とフル稼働でチームを決勝へ導いた。

その鈴木に先制点をプレゼントしたのが、女房役の4番石上。1回2死二塁で、相手先発・榊原の初球をたたき、左翼への適時二塁打。「積極的に甘い球を打ちにいけと、ベンチから指示があった。逆風だったが、外野手が前進していたので抜けてくれた」。守備では、鈴木の制球力を信頼し、内角を積極的に要求。「今日は、鈴木が今大会のベストピッチをして抑えてくれたので勝てました」と、右腕をたたえた。

これで4回戦から3戦連続のシード校撃破。就任後、初の夏決勝進出に原俊介監督(43)は「ここまできたのは、生徒たちのおかげ」と、目を細める。静高とのファイナルへ向け「あとは僕ら指導者が、選手たちをどれだけ気持ちよくグラウンドへ送り出せるかだと思う。彼らが『最高の高校野球だった』と胸を張れるように努めたい」と、前を向いた。【河合萌彦】