「厳しいキャプテン」の役目が終わった-。横浜創学館が横浜に大敗し、春夏を通じ初の甲子園出場を逃した。最速149キロ右腕・山岸翠(あきら)投手(3年)が4回11失点と打ち込まれて序盤から劣勢。15点を追う7回無死、4番の長井俊輔主将(3年)が、高校通算10号となるソロ本塁打を放って待望の1点。8回にも犠飛を放ち2打点をマークしたが、前回決勝進出した08年と同じ相手、横浜の壁は厚かった。

7回、先頭で右打席に入った長井主将が、横浜の1年生左腕・杉山のスライダーを捉え、左翼ポール際に運んだ。「気持ちでいくしかないなと思っていた。打った瞬間はファウルだなと思ったので。ホームランになってビックリした」という1発は、自身の今大会初長打となった。続く8回1死一、三塁で犠飛を放つなど2打点を挙げる意地を見せたが「情けない4番になってしまった。勝てればそれが、いいバッティング。今日は負けたので、いいバッティングとは言えないです」と振りかえった。

自分にも、仲間にも厳しく接してきた。練習後のミーティングでは、あえて厳しい言葉をぶつけた。同県は参加数の多い全国屈指の激戦区で強豪も多数。「横浜高校さんのようなスター選手がそろったような集団に、優しい言葉ばかりかけていたらダメだと思ったので。チームの中心の自分が厳しく言って、自分にも厳しくやってきた」という。「言いすぎたなと、心が痛い日もあったんですけど、最後の最後まで貫こうと思った」と振りかえる。

大量ビハインドの劣勢にも最後までベンチは明るく、大きな声が出続けていた。長井主将は「ここで気分を落として情けなく泣いていたら、スタンドのやつらに顔向けできない。最後の最後まで出来ることを貫こうと思ってやっていました」と胸を張った。「スタンドの3年生、2年生も含めて、常に厳しい声ばかりかけてきたので。どういう風に写っているか分からないですけど。最後にスタンドの全員、OBの皆様に感謝を伝えたいです。最後には全員にありがとうと言いたいです」。厳しい主将の役目から開放され、最後に穏やかな笑顔を見せた。【鈴木正章】