札幌地区は、今夏南北海道大会8強の を14-1の5回コールドで下し、5年ぶり制覇に好発進した。公式戦初先発の賀集竜世中堅手(2年)が、2回1死二、三塁で公式戦初安打となる勝ち越しの中越え適時二塁打を放つなど2安打2打点。祖父一(はじめ)さん(61)が旭川龍谷で75年夏の甲子園出場、父隆さん(37)が札幌第一OBで99年秋全道準優勝という高校野球一家の3代目が、白星を呼び込んだ。

9番打者が、1点先制された嫌な流れを断ち切った。2回、同点に追いつきなお1死二、三塁。札幌第一・賀集は1ボールから、低めの変化球をフルスイング。ボールはぐんぐん伸び、中堅手の頭を越えた。チームを勢いづける貴重な勝ち越し打に「タッチアップでもいいと思っていた。何とか抜けてくれて良かった。点につながる仕事ができて良かった」と謙虚に喜んだ。

昨秋の全道大会で初めてベンチ入り。代打で2打席経験も、いずれも凡打に終わっていた。春夏はベンチ外。「春と夏は全力で先輩をサポートしようと切り替えて、この秋こそ、表に出て選手としてチームに貢献したかった」。1年ぶりにメンバーに復帰し、公式戦最初の安打が、勝利を決める一打となった。

祖父の一さんは75年に旭川龍谷の1年生投手として夏の甲子園に出場し、父隆さんは札幌第一OBで外野手兼投手として、99年秋季全道大会準優勝という高校野球一家だ。「祖父には『甲子園は楽しいぞ。あそこに立つだけで、すごいところだと分かる』と聞かされてきた。僕も何とか勝ち上がって、あの舞台に立ってみたい」と思い描いた。

父の隆さんは菊池雄人監督(49)が監督1年目の教え子で「父に似て打撃センスがある。夏場に調子を崩していたので今は9番だが、本来は中軸も任せられる力がある」と言う。大会前に賀集は打撃改善のため動画でフォームをチェック。前掛かりになっていることに気づき、父にも見せ「あまり技術面の指導をしない父も同じことを言っていたので、意識して直すことができた」。祖父の経験談、父の教えを糧に、16年以来5年ぶりの秋全道制覇を狙う。【永野高輔】