昨秋県4強の相馬東が相馬との「相馬ダービー」を10-3で制し、秋初戦を7回コールド勝ちで飾った。

背番号1椎谷翼投手(2年)が試合を締めくくった。10-3の7回2死。最後の打者を二飛に打ち取り、マウンド上で小さくガッツポーズ。「点差もあったので、思い切って投げ切ることができた」。大会前には支部予選で逆転負けした因縁の相手。相馬地区同士で両校の間は約3キロ。顔見知りの選手も多かった。「小学校の時に一緒にやっていた選手もいる。2度も負けるわけにはいかないので、やり返してやろうと思った」と強い気持ちを胸に、雪辱を果たした。

真っすぐにこだわりを持つ。「打者の手元で浮き上がる直球をアウトコースに投げ込みたい」と、普段からキャッチボールに重点を置く。マウンド本塁間の18・44メートルに加え、塁間の距離を目標を定めながら、強く、低い球を投げ込む。この試合では6回から2番手で登板。磨き上げてきた直球を軸に2回を完全投球。「練習の成果は出たかなと思います」と、成長曲線を描き始めている。

新エースが先輩の思いを受け継ぐ。椎谷のグラブは前エース笠松航汰(3年)が愛用したもの。今夏の福島大会はシードで臨んだが、福島成蹊との初戦で7回コールド負け。敗戦翌日にグラブを譲り受け、気持ちが引き締まった。椎谷は「先輩たちの分まで勝ちたい思いが強くなった」。

チーム目標は2年連続となる「秋4強」。「(背番号)1を背負っている以上、ふがいない投球はできない」。自覚を示し、マウンド上で勝利を呼び込む。【佐藤究】