東北の雄・仙台育英が、快勝劇で秋の県大会10連覇を決めた。東北との「黄金カード」に先発した左腕、斎藤蓉(2年)が9回完封勝ち。105球を投じ、2安打9奪三振無失点の快投。夏の敗戦を糧にさらなる成長曲線を描く背番号10が、今後への経験と確かな自信をつかんだ。聖和学園は利府に9-2で7回コールド勝ち。上位3校(仙台育英、東北、聖和学園)が、秋季東北大会(10月20日開幕、宮城)に出場する。

志願の完封で、斎藤蓉はまた1つスケールアップした。8回までスコアボードに「0」を並べ、満を持して最終回のマウンドへ。2者連続三振で2死とし、最後の打者は中飛。この回わずか8球で試合を締めくくり、淡々と投げ続けた左腕は少し表情を崩した。「今までで一番良い投球ができました」と、105球の「完封劇」に胸を張った。

7回には、継投も視野に入れながら戦況を見守った須江航監督(38)に続投を志願した。斎藤蓉は「絶対に抑えられると思ったし、自分に自信をつけたかった」と、有言実行の快投で最後までマウンドを譲らなかった。

打たれる気配がなかった。回を追うごとにボールに力が増す。最速140キロ台の直球を軸に、キレのあるスライダーが要所で内外角に決まった。4回以降はノーヒットで9奪三振もマーク。三塁すら踏ませない投球で「クイックやランナーが出てからの冷静さを意識して、練習に取り組んできた」成果を発揮した。

負けられない思いを胸に秘め、左腕を振る。今夏は宮城大会4回戦でまさかの敗戦。ベンチ入りしていた斎藤蓉は「夏は悔しい思いしかない」。9月から対外試合は自粛ムード。3年生との「ガチンコ紅白戦」で実戦感覚を養い、日本一を目指してやってきた3年生のプレーに刺激をもらった。「3年生の分も自分たちが『やるんだ』と思っている」。夢半ばで散った3年生の意思を継ぎ、ナインは雪辱に燃える。

来春センバツへの道のりを突き進む。「1つ1つ、勝利を積み重ねてセンバツに行く」と秋の東北大会V3を見据える。新チームは実りの秋に向かって、さらなる高みを目指す。【佐藤究】