2年後ドラフトの超目玉候補だ。花巻東(岩手)の1年生スラッガーが衝撃のアーチをかけた。

21日、東日本国際大昌平(福島)との秋季東北大会2回戦に佐々木洋監督(46)の長男麟太郎内野手が「3番一塁」で先発。4回2死二塁からバックスクリーン左へ特大2ランを放った。これで早くも高校通算47本目。183センチ、117キロと規格外な大物ルーキーが、同校OBでエンゼルス大谷翔平投手(27)が高校3年間でマークした同56本塁打に早くも届きそうだ。

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どこまで飛んでいくのか。3-0の4回2死二塁。佐々木麟がカウント2-1から外角直球を豪快に振り抜いた。打球は、中堅左の芝生席に突き刺さった。約140メートルの特大アーチだ。二塁ベース付近で着弾したのを確認し、走るスピードを緩めて、貫禄たっぷりにダイヤモンドを周回した。「ライナー性の延長線上がホームランになった。感触は良かったです」。規格外のパワーを見せつけ、胸を張った。

怪物スラッガーが見せた対応能力の高さだ。試合会場の石巻市民球場は右翼から左翼へと強風が吹き荒れており、左打者が引っ張った打球は押し戻される。「センター方向を意識し、風の方向を確認しながら打ち分けた」。打席でバックスクリーン上の旗で風向きを確認。常日頃から取り組むという逆方向への打球練習の成果を発揮した。1年秋で早くも高校通算47号。「3番を打たせてもらっているので『オレに任せろ』の気持ちを持って、打席に立っている」と中軸打者の自覚も十分だ。

2年後のドラフト会議で「超目玉スラッガー」になることを予感させる。高校通算111本塁打で、ドラフト7球団競合の日本ハム清宮でも、早実1年時に放った本塁打数は22本。ネット裏で視線を送ったDeNA欠端スカウトは「タイミングの取り方がうまいし、パワーもある。再来年が楽しみだね。3年で300本打つのでは?」と、冗談交じりに実力を高く評価した。

中学時代は、エンゼルス大谷の父徹さんが監督を務める金ケ崎シニア(岩手)で3年間プレー。メジャーでも活躍する偉大な先輩方の姿に憧れを持ち、同校入学を決意した。大谷が高校3年間で積み上げた56本塁打も視界に入るが、佐々木麟は言う。「チームの勝利に貢献することだけしか考えていない」。23日の準々決勝は秋3連覇を狙う仙台育英が相手。来春のセンバツ出場へ向け、大きな敵に立ち向かう。【佐藤究】

◆佐々木麟太郎(ささき・りんたろう)2005年(平17)4月18日生まれ、岩手県出身。幼少時から江釣子スポーツ少年団で野球を始め、中学時代は金ケ崎リトルシニアでプレー。1年春からベンチ入り。183センチ、117キロ。右投げ左打ち。