近江は最速148キロ右腕でプロ注目のエース山田陽翔投手(3年)が鮮やかな変わり身で03年以来、19年ぶりのセンバツ8強に入った。初回は3四死球と荒れて先制点を献上。序盤は球が上ずり、多賀章仁監督(62)に言われた。「みんなでやっている。独り相撲はあかん」。目が覚めた。冷静に修正した。

「無駄な力が入って力みがあった。ここから1日空いて、連戦になってくる。できるだけ球数を抑えて」

変化球主体に切り替え、4回以降は安定した。6回無死一塁。カットボールで引っ掛けさせ、狙い通り遊撃併殺に仕留めた。9回を87球で2戦連続完投。20日長崎日大戦は165球だった。この日は一転して、省エネ投球を披露した。

京都国際がコロナ禍で辞退し、代替出場が決まった。20日の初陣は彦根市から早朝出発で遠路、日帰りの強行軍だったが24日に大阪市内の宿舎入り。ようやく腰を据えた。多賀監督も「30分で甲子園に着く。選手もいいムードでやらせていただいた」と話す。山田はバスの車中で夏の甲子園大会歌「栄冠は君に輝く」を聞いた。「自分のモチベーションを上げる」。恒例儀式で闘志満々だった。代替出場校のセンバツ8強は92年の育英(兵庫)以来30年ぶり。想像もしなかった春になっている。【酒井俊作】