南北北海道大会の代表校が3地区で決まった。北北海道の釧根地区では、釧路明輝が延長13回タイブレークで、春の全道8強で地区予選で敗れた釧路工を10-9で下し、4年ぶり4度目の北大会出場を決めた。先発右腕の松尾颯馬投手(3年)が231球の完投。3時間17分の死闘を制し、19年9月に就任した関谷健一郎監督(30)に初の北大会切符をプレゼントした。

シーソーゲームに我慢に我慢を重ねて勝利をつかんだ。釧路明輝が延長13回タイブレーク、3時間17分の死闘を制した。先発の松尾は231球完投。「自分のせいで失点してしまって、精神的にくる部分もあったけど、みんなが自分のことを支えてくれた。勝ててよかった」と胸をなで下ろした。

8回表を終え4-2とリード。だがその裏に同点に追いつかれ、さらに2点の勝ち越しを許した。松尾は関谷監督から交代の打診があったが「行けます、大丈夫です」とマウンドを降りなかった。チームは9回に2点を奪って試合を振り出しに戻す。10回には1点を奪い勝ち越すも、その裏再び追いつかれた。タイブレークに突入し無死満塁から押し出し四球で勝ち越すなど3得点。最後は1点差で逃げ切った。

19年9月に関谷監督が就任。当時部員は4人しかおらず、その年の秋は6チームの連合で出場した。20年4月に塩崎辰樹主将(3年)ら新1年生が入部。松尾は高校で野球をやらない予定だったが、塩崎に誘われ入部を決意。単独チームができる人数がそろい、以来単独出場を続けこの日の勝利につなげた。塩崎主将は「校歌を歌っている時にやっと努力が報われたなと感じた」と喜んだ。

選手から北大会切符というプレゼントをもらった同監督は目を潤ませた。「いろんなことがよみがえってきて。校歌を聞いていたら涙が出てました」。創部から15年。過去3度(13、16、18年)出場の北大会はいずれも初戦で敗退。塩崎主将は「堂々とプレーして、明輝らしいプレーをしたい」。目指すは1勝だ。【山崎純一】