新型コロナウイルス集団感染の中、出場可能となった九州国際大付が、初戦を突破した。明徳義塾との好カード対決を制し、16強入り。最終的に登録選手2人を入れ替える状況に収まったが、楠城徹監督(71)は「体調不良になった子に代わり(メンバーに)入った子は必ずやってくれると信じていた。気構えだけは負けないようにやってきた」と、勝因を挙げた。

エース香西が5安打1失点で完投。最速は130キロに満たずとも、スライダー、チェンジアップ、90キロ台のカーブで翻弄(ほんろう)した。ヤクルト石川雅規に憧れる変幻自在の左腕は「今日は真っすぐも走ってました。直球を軸に緩急で勝負することができたと思います」と笑顔だ。

大会直前に体調不良者が続出した。開会式は欠席。練習再開は試合4日前の7日からだった。調整は散歩や体操から始め、9日にはコロナ集団感染と判断された。苦境に立たされたが、戦国福岡の王者は負けなかった。

香西も福岡大会でコロナに感染した。実戦登板は7月15日以来、約1カ月ぶり。試合観戦の日々が続いたが、ほぼぶっつけ本番の聖地で鬱憤(うっぷん)を晴らした。「自分が出られない中、みんなが甲子園につないでくれた。感謝でした」。今度はエースがチームを救った。

3回戦は今大会の注目スラッガー、浅野率いる高松商。香西は「予選の時から見てました。すごいバッターだなと。自分の持ってるものを出して、緩急で抑えていきたい」と、引き締めた。【只松憲】

○…九州国際大付の高校通算21発で2年生の巨漢スラッガー、佐倉侠史朗内野手は4打数無安打2三振に封じられた。1点リードの8回は1死一、二塁の好機で遊併。「打てない時はある。春(センバツ)も初戦はこういう形で入った。指導者と話し合って調整していきたいです」と切り替えた。次戦は高松商・浅野とのスラッガー対決。佐倉は「自分の結果というよりチームの結果が大事。勝利に貢献できるプレーができたら」と意気込んだ。

▽九州国際大付・小田原義外野手(3年=3回に右翼線へ同点適時打)「香西が『踏ん張ってあと1点、あと1点』と声をかけてくれた。つなげられてよかった」

▽九州国際大付・黒田義信外野手(3年=1安打2犠打)「試合前から投手戦になると思っていたので焦りはなかった。次の戦いでは自信ある長打であったり、走塁面だったりを(発揮できるよう)練習していきたい」

▽九州国際大付・野田海人捕手(3年=先発の香西について)「自分の配球通り、構えたコースに投げてくれて、捕ってる方としても気持ちよかった。テンポよく試合を作ってくれたので、今日の試合は香西のおかげ」