新潟明訓は東京学館新潟に3-0で勝ち、秋は2年ぶりの決勝進出を決めた。エースの左腕、樋口歩夢投手(2年)が毎回の14奪三振、被安打3の完封を演じた。決勝と順位決定戦は明日26日、ハードオフ新潟で行われる。

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ラストボールは得意な内角直球と決めていた。新潟明訓の樋口が、東京学館新潟の最後の打者に投じた123球目。高めの威力ある直球に相手バットは空を切った。快投の幕切れは毎回となる14個目の三振。「詰まらせて抑えようと思っていた」と2桁三振を奪いながらの完封勝ちにも、どこ吹く風で受け流した。

新潟との準々決勝で7回106球を投げてから中1日の先発完封。しかし、エースに疲労の蓄積はなかった。準決勝前日の23日の練習でも「しっかり投げた」と30球の投球練習を消化。チェンジアップを有効に使って東京学館新潟の打線を3安打に抑えた。斎藤飛向捕手(2年)は「疲れは残っていると思ったけれど、2日前(準々決勝)より、球が走っていた」とエースの“鉄人ぶり”に驚いた。

樋口にとっては2回戦の新発田農戦に次いでの完封投球になった。秋季大会は4試合に登板して26イニング無失点。島田修監督(57)は「やさしい子だが、投手としての気の強さを持っている」と無失点を続けるエースのメンタルの強さを明かした。

夏に味わった悔しい思いが、樋口を成長させた。準々決勝の北越戦に2番手で登板し4回7安打4失点。2-8で敗れた。「全部、全力で投げるのではなく、考えて投げなければいけない」と緩急をつける投球を学び、この日に生かした。「序盤は全力で中盤はテンポよく。後半はまた全力で投げた」。決勝でもスコアボードに0を並べる決意だった。【涌井幹雄】