幼なじみバッテリーが連覇へ突き進む。昨夏覇者の仙台育英(宮城)が、19年に優勝した履正社(大阪)との「V校対決」に競り勝ち、2年連続の8強入りを決めた。6回から救援したエース高橋煌稀投手(3年)が4回を4安打無失点。同点の8回には、女房役の尾形樹人捕手(3年)が決勝スクイズを決めた。同校は春夏甲子園60勝に到達。夏の選手権は通算44勝で6位、東日本勢では早実(西東京)を抜いて単独1位に浮上した。花巻東(岩手)は今大会初先発のサイド左腕・葛西陸投手(2年)が8回1/3を10安打2失点と好投し、10年ぶりのベスト8に導いた。
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エースの意地が勝った。「自分がマウンドに上がったからには抑えたい」。同点で迎えた6回、高橋は強い気持ちでマウンドに上がった。140キロ台中盤の力強い真っすぐを内、外に丁寧に投げ分け、多彩な変化球でも緩急をつけた。「真っすぐの伸びが良かったので、自信をもってマウンドに上がりました」。強力打線を相手に1歩も引かず、流れを渡さなかった。
そして、幼なじみが決勝点を決めた。8回1死三塁で、小学校からバッテリーを組む相棒の尾形が1ボールから高めに外されても、遊撃方向へスクイズを転がした。須江航監督(40)も「ここで行かないと一生後悔する。『尾形だったらできる』と信じて良かった。尾形のビッグプレーでしたね」と絶賛した。
高橋はこの1点を守り切った。その裏2死一、三塁のピンチで代打を迎えると、ギアを1つ上げた。「真っすぐで押せる」。尾形のサインに1度も首を振らず、全球直球勝負で空振り三振に抑えると、「あまりやらないんですが、自然に出ちゃいました」とガッツポーズが飛び出した。
2人は同じ宮城・登米市立佐沼小出身。父同士が同級生という縁もあり、一緒に登米友球ジュニアで野球を始めた。野球以外でも大の仲良し。そんな2人も、1度だけケンカをした思い出がある。「小4の頃、しょうもないことで石を投げ合ったことがあるんです」。そんなときでもキャッチボールから「自然と仲直りしていました(笑い)」。高橋が「(尾形を)一番信頼しています。自分の意図もすべてくみ取って配球してくれる。誇りに思っています」と言えば、尾形は「2人で1つです」とボールを通して心を1つにする。
昨夏の全国制覇で、入学時に2人で誓った「日本一のバッテリーになりたい」という目標は達成した。今年、目指すは「2連覇したバッテリー」。新たな称号に向かって、ともに力強く歩いている。【保坂淑子】
◆連覇挑戦校の8強 昨夏優勝の仙台育英が8強。前年優勝校が8強入りしたのは06年駒大苫小牧以来、延べ19校目。過去の連覇は31~33年に3連覇した中京商(現中京大中京)など6校が記録している。
◆3度目の東北対決 花巻東が準々決勝で仙台育英と対戦。今大会では2回戦の八戸学院光星7-0ノースアジア大明桜、仙台育英8-2聖光学院に次いで3度目の東北対決になる。1大会3度は15年夏の2度(仙台育英4-3花巻東、仙台育英6-3秋田商)を上回り、春夏を通じ史上初。
◆岩手対宮城 花巻東は準々決勝で仙台育英と対戦。過去の岩手対宮城は春夏通算3度あり、通算2勝1敗。いずれも花巻東が絡んだ。菊池雄星(現ブルージェイズ)がいた09年は春夏とも勝ったが、15年夏は平沢大河(現ロッテ)、郡司裕也(現日本ハム)らの仙台育英に3-4で惜敗。
◆東北勢3校が8強 夏の大会で複数の東北勢が8強入りしたのは11度目。過去10度はいずれも2校で、3校が進出は史上初。複数の東北勢が4強入りすれば89年(仙台育英=準V、秋田経法大付=4強)、13年(花巻東、日大山形=ともに4強)、22年(仙台育英=優勝、聖光学院=4強)に次いで4度目となる。

