開志学園は新潟南に5-1で勝ち、秋は初の4強を決めた。先発のエース緑川悠斗投手(2年)は左太もも裏をつって降板するまで7回0/3を2安打、10奪三振の好投でチームに勝利を呼び込んだ。22日は休養日で、23日の準決勝(三条パール金属スタジアム)は帝京長岡と対戦する。

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マウンドの開志学園・緑川は肝がすわっていた。3-0で迎えた5回。無死一、三塁のピンチにも動揺のそぶりを一切見せなかった。「無失点がベスト。うしろを信じて投げた」と空振り三振2個と左飛で危機を脱した。184センチ、97キロの恵まれた体ながら、球場表示では球速の最速は128キロ。スライダーとチェンジアップを決め球に打者に的を絞らせない。7回で10三振を奪ったが、9個は空振り三振だった。

「おっとりした性格だが、(マウンドでは)別人みたいな投球」とエースを評した川上大輔監督(34)は、緑川をベタぼめだった。「大会で一番、いい投球。大会で一番成長した。しっかりしたエースになった」。2回戦の北越戦は先発し2回0/3を3安打5失点(自責2)。3回戦の新潟西戦も先発6回を3安打5失点(自責1)の投球だった。緑川も「思うように投げられず、悔しい思いをした。それをバネに投げた」とボールを低めに集めた。

入学時の体重は103キロで「動けなかった」と言う。トレーニングで体重を90キロ台に絞り、器用な指先を生かしチェンジアップを会得。変化球のキレと精度も身につけた。夏はベンチ外ながら走り込みと筋トレで秋は1番を背負った。8回は先頭打者に3球投げた時点で左足太もも裏をつるアクシデントで、ちょうど100球で降板。「最後までいく予定だった」という川上監督の言葉はエースへの信頼感が表れていた。【涌井幹雄】

 

○…ここまで全試合で登板してきた新潟南エース池田隆之丞投手(2年)は9回を投げ、被安打10で5失点。141球の熱投も準Vだった18年秋以来の4強入りとはならなかった。3回戦の新発田農戦から準々決勝までの3試合で1人でマウンドを守り続けた。「もっと上に行きたかったですけど相手が強かった。冬にしっかり体を作って、強いところとやり合うためにも球速をもっと上げていきたい」と先を見据えた。