有田工(佐賀)が滋賀学園との開幕ゲームを落とし、甲子園1番星を逃した。先発した石永煌希(こうき)投手(3年)が左肘の違和感で精彩を欠き、8回途中を8安打7失点(自責4)。守備も7失策を数え、持ち前の堅守が崩壊した。打線は「信は力なり」をモットーに6点差の最終回に2点を返すも、守備のほころびが明暗を分けた。主将の前田壮梧(そうご)内野手(3年)は2安打とバットで気を吐いた。
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6点差の最終回。有田工ナインがベンチ前で最後の円陣を組む。梅崎信司監督(44)からハッパもかけられ「おっしゃー!」。士気を高め、最後まで闘志は衰えていなかった。
先頭の前田壮主将が中前打で出塁。続く9番大古場彩斗外野手(3年)は右前打でつなぐ。その後1死一、二塁から2連続適時打が飛び出す。2点を返した。前田壮は「9回で簡単に終わるチームじゃない」。アルプスの応援も一段と増す。なおも1死一、二塁。反撃ムードが高まるも、最後は相手遊撃手の好捕で遊ゴロ併殺。甲子園1番星を逃し、13年以来の聖地1勝とはならなかった。
ナインは「信は力なり」の言葉を胸に刻んでいた。かつて伏見工(現京都工学院)のラグビー部で監督を務めた山口良治さんの名言。梅崎監督は「私の恩師がずっと言っていた言葉」と言う。佐賀東時代の恩師で甲子園出場経験もある吉丸信さんから授かった金言だ。指導者として選手に“信じる力”は説き続けてきた。前田壮は「自分たちのプレーを最後まで信じた結果が最終回の追い上げになった」。悔し涙をぬぐい、胸を張った。
前田壮は1点を勝ち越した直後の4回2死二塁でも中前打をマークした。佐賀大会は13打数無安打で打率0割も、憧れの聖地で2安打。不振を抜け出し、「最後まで信じれば自分の力が返ってくる」。まさに「信は力なり」を体現し、バットで気を吐いた。
結果的に持ち前の堅守がほころび、計7失策などが大量10失点につながった。梅崎監督は「本来は守りで勝つチーム。非常に悔しいですが、最後に粘りを見せてくれた」。最後まで戦い抜いた姿に目を細めた。
10月には開催地枠で佐賀国スポに出場する。梅崎監督は「国体もあるので、もう1回チャレンジしたい」。この敗戦を糧に、地元開催でリベンジを期す。【佐藤究】

