智弁学園(奈良)がセンバツ王者・健大高崎(群馬)に競り勝ち、夏の甲子園30勝を飾った。同点の9回に1番佐坂悠登内野手(3年)が決勝の中前適時打を放ち、接戦を制した。

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佐坂は、初球の甘く入った球を振り抜いた。同点の9回。健大高崎・箱山遥人捕手(3年)のバントを封じる好守備で球場は盛り上がり、相手に流れが傾くかと思われた直後の2死一、二塁での一撃。打球は遊撃手の頭を越えて中前へ。一塁ベース付近で右腕を何度も振り、決勝打を放った喜びを全身で表現した。

「真っすぐ狙いで、甘く入ったカットボールが来たんで、1球目から積極的に行こうと思っていた。本当に仲間に感謝です」

試合後、佐坂は10秒以上言葉が出なかった。やっとの思いで口を開き「秋と春に負けてから、自分たちのやることが分からなくなって、苦しい中でも胸張っていこうとキャプテンの知花が言った。何とかチームワークでここまでやって来て、健大高崎に勝てたことはすごくうれしい」と涙ながらに語った。さらに「箱山君の涙を見て、あの子も相当なプレッシャーと戦って苦しかっただろうなと思った。ある意味複雑な気持ち」と相手への思いやりにもあふれていた。

奈良大会決勝の、最速147キロを誇る奈良大付・岸本佑也内野手(3年)との対戦経験が生きた。「バットが遅れてしまう感じだったので、甲子園からはちょっと細めのグリップを使用してそれがうまく今はハマってます」。最速154キロの石垣元気投手(2年)に対し、臆せずにスイングした。

「思いを背負って日本一に」と意気込む。前日に敗れた智弁和歌山や今夏倒した相手の分も、奮起。経験も糧に勝ち進んでいく。【塚本光】

▽小坂将商(まさあき)監督(今春のセンバツ王者・健大高崎を倒し同校夏通算30勝)「選手たちが準備して、しっかりやってくれている結果が勝ちにつながった」

◆佐坂悠登(ささか・はると)2006年(平18)6月12日生まれ。徳島県出身。小学時代は軟式野球の羽ノ浦パピヨンスポーツ少年団に所属し、同6年時に徳島県大会優勝。羽ノ浦中時代は神戸中央リトルシニアに所属し、3年春に全国大会3位。智弁学園では1年夏から背番号20の捕手でベンチ入り。50メートル走6秒5。遠投90メートル。169センチ、76キロ。右投げ右打ち。

◆2桁奪三振で春夏連覇阻止 智弁学園・田近が10奪三振。春夏連覇を阻止した試合で2桁奪三振は、55年前岡勤也(新宮=浪華商から10個)、99年安田良平(都城=沖縄尚学から12個)、07年野村祐輔(広陵=常葉学園菊川から12個)に次いで4人目。

◆奈良県勢の2桁奪三振 夏の大会では59年大井和男(天理)が高鍋から14個(延長15回)、02年田中曜平(智弁学園)が拓大紅陵、海星から2試合連続で10個を奪って以来、22年ぶり3人目(4度目)。

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