逆転を信じて3点を追う7回。マウンドに上がった健大高崎の石垣元が150キロ台前半の直球を立て続けに投じ、球場全体を大きな歓声で包んだ。
7回1死から京都国際・山口に対して投じた5球目、8回2死から尾角に投じた初球が、甲子園最速に並ぶ155キロを計測。劣勢ムードをはねのけようと必死だった。
2イニングを2安打無失点に抑えたが、試合をひっくり返すには遅かった。「このピッチャー陣で打たれたなら、しょうがないです」と仲間を気遣った。「悔しい気持ちも、もちろんあったんですけど、本当に2年半やり切ったっていう気持ちが大きくて。自分自身は本当に楽しめました」と涙はなかった。
コンディションは万全だったが、先発ではなくリリーフで待機。青柳博文監督(53)は「勝ち上がれば先発も考えていた。夏の日本一を見据えてある程度プランを決めてやってきた。今日は相手がしぶとい打線だから石垣1人では無理だと。後半に勝負が来ると思ったんですけど、自分自身の読みが甘かった。序盤の6点は大きかった」と自分を責めた。
わずか28球で幕を閉じた、高校最後の夏。大会の主役と目された剛腕は早々に聖地を後にすることになったが、甲子園の土は持ち帰らなかった。「プロの舞台でもやることがあると思うので、土は必要ない」。今秋ドラフトの上位指名候補は、国内プロ入りの希望を表明。「U18代表に選ばれたら、1位でいく実力を見せたい」と意欲を示し「(将来は)先発完投できるような日本を代表するピッチャーになりたい」と次のステージを見据えた。【平山連】
▽巨人大場スカウト部主任 「群馬大会から変化球の精度が上がり、真っすぐでも空振りをとれて全体的にいい。高校生ナンバーワンの評価で、順調に右肩上がりの成長をしている。(トミー・ジョン手術で)投げられなかった佐藤(龍月)君とライバル意識があったのがよかったのでは。2人とも将来が楽しみです」
▽ヤクルト橿渕スカウト育成グループデスク「もっと見たかったのが正直なところですが、直球も変化球もやはりトップクラスのものを持っていることは改めて確認はできました」
▽DeNA八馬アマスカウティンググループ・グループリーダー「今年の高校生の中ではNO・1。速球に目が行きがちだけど、今日は変化球がよくなっていた。カットボールもフォークも一級品。プロに入っても、早めに1軍に出てくる投手ですよ」
◆石垣元気(いしがき・げんき)2007年(平19)8月16日生まれ、北海道登別市出身。小学1年時に柏木ジュニアーズで野球を始め、中学時代は洞爺湖シニアでプレー。健大高崎では1年春の県大会からベンチ入りし、2年春には5試合防御率1・96で2年生コンビの佐藤龍月とセンバツVに貢献。昨秋の関東大会で2年生最速の158キロをマーク。将来の夢は大リーガー。180センチ、78キロ。右投げ両打ち。

