敗退チームのドラマにスポットを当てる「胸張ってイイじゃん」を随時掲載し球児たちの奮闘に迫ります。

   ◇   ◇   ◇

亡き父へ届ける3安打だった。試合には敗れたが、正則・池田人星(じんせい)内野手(3年)は3番に座り3安打2打点をマーク。最後の夏で大きな存在感を示した。

沖縄・宮古島で生まれ、10歳の時に東京へ移り住む。小学2年から社会人野球でプレー経験を持つ父義正さんと家の庭で野球やバスケットボールに打ち込み、スポーツの楽しさを教わった。

しかし中学2年の6月、義正さんは突然この世を去った。「立ち直れない日もありました。でも助けてもらったのは野球でした」。一度は心が折れかけたが、「父を超えたい」、「父に恩返ししたい」という思いが、再びグラウンドへ向かう力になった。

受け継いだ教えは、今を支える土台になっている。その一つが両投げ両打ちだ。「片方だけではなく、両方できれば偏りがなくなる。けがをした時にも対応できる」と、小学生の頃からスイッチヒッターとして腕を磨いてきた。登録は右投げだが、左でも投げることができる。「環境を言い訳にするな」という言葉も胸に刻んでいる。専用グラウンドを持たない正則でも、「練習で完璧にしなければ大会でアウトは取れない」という思いで、日々の練習に向き合った。

最後の夏に見せた3安打は、何よりの知らせになった。「父にもいい報告ができます」。高校野球を終えた後も、大学で続ける決意を固めている。「父から教わった野球をこれからも続けたい。野球は人生です」。白球を追い続けるべく、次なる舞台へ進む。【栗林真菜】