渡辺監督、甲子園の空から見ていますか-。横浜(神奈川)がエース織田翔希投手(3年)の10奪三振完封で花巻東(岩手)に勝利。08年夏以来18年ぶりとなる4強入りを決め、村田浩明監督(40)は試合後、涙を流した。17日に81歳で亡くなった甲子園春夏5度の優勝を誇り、歴代5位の通算51勝を挙げた渡辺元智(わたなべ・もとのり)さんに勝利を捧け、甲子園の空を見上げた。そして、28年ぶりの優勝を誓った。

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村田監督の目から涙がこぼれた。「…自分の人生を変えてくれた渡辺監督さんが…昨日の朝、亡くなられたと連絡が来て…すごいショックで。でも、選手たちが本当に一生懸命やってくれて。監督さんに勝利を届けられた。次は優勝届けられるようにやらなきゃいけない。また頑張りたいと思います…」。

何度も言葉を詰まらせながら、渡辺さんへの思いを込めた。

恩師の訃報から一夜明け、迎えた甲子園球場に横浜の校歌が響き渡った。選手たちは空を見上げ「監督さん、空にいるぞ!」「よっしゃー」と笑顔で叫んだ。いつもグラウンドや試合に足を運んでくれ指導を受けた。心からの感謝の気持ちを天国に届けた。

渡辺さんがつくりあげた“横浜野球”を継承した。1回2死二、三塁から、相手捕逸で先制。4回には1死一塁から千島大翼外野手(3年)が右安打でヒットエンドラン。好機を広げ一、三塁とし、安食琥太郎外野手(2年)の一ゴロの間に2点目を挙げた。手堅く得点するのが渡辺さんがつくりあげた“横浜野球”。そこに機動力の“村田野球”をプラスし得点を重ねた。投げては先発の最速157キロ右腕、織田が7安打完封。村田監督は「選手たちが力を合わせてやっている姿を見て、これが渡辺監督がつくられてきた横浜高校の野球だと思った」と誇らしく語った。

渡辺さんが大切にした「野球を楽しむ気持ちが」が重い空気を一掃した。試合に向かうバスの中は静まり返っていた。いつも村田監督がカラオケで「ミ・アモーレ」と歌うルーティンを、この日は渡辺さんのモノマネをしながら歌うと、選手たちに笑顔が戻った。「渡辺監督はいつも明るくてひょうきんで。僕たちいじってくれたので」。そして「今日は明るく楽しく、そして激しく、暴れよう」と、送り出した。受け身にならず、攻め続ける。選手たちは笑顔でプレーした。

いつも試合前には渡辺さんにメールと電話で勇気づけてもらっていた。16日、3回戦の霞ケ浦戦の前は返事が返ってこなかった。訃報が届いたのは翌朝17日。「今まで当たり前のように監督さんがそばにいた。僕も頼ってばかりで甘えていたんですね」。それはまるで「村田、もうお前は1人前だぞ。責任と使命感を持ってやりなさい」というメッセージのようだった。

「天国の監督さんに優勝を届けられるように全戦必勝で頑張るだけ」。村田監督、独り立ちの夏。“横浜野球”が頂点をとりにいく。【保坂淑子】

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